診断基準
A. 主要臨床症状
- 発症時期は新生児期~乳児期で2歳以上の発症は稀である。
- てんかん発作は、強直間代、意識減損を伴う焦点発作、てんかん性スパズム、ミオクロニー発作など多彩で、抗てんかん薬治療に抵抗する(註1)。
- ビタミンB6製剤(ピリドキシンまたはピリドキサールリン酸)の投与で、発作が顕著に減少または消失する。
B. 検査所見
- 1. 代謝マーカー
- ピリドキシン依存性てんかん(ALDH7A1欠損症)、 PNPO欠損症に特徴的な代謝マーカーの異常を認める(註2)。
- 2. 遺伝子
- ALDH7A1 遺伝子、PNPO 遺伝子、PLPBP 遺伝子(PROSC 遺伝子)のいずれかに変異を認める。
診断
A. の1、2、3 で本症を疑い、B. の 1、2 のいずれかを満たすとき、診断を確定する。- 註1:
- 一時的に抗てんかん薬が有効な場合がある。
- 註2:
- ピリドキシン依存性てんかん(ALDH7A1 欠損症)では、α-アミノアジピン酸セミアルデヒドデヒド (α-AASA)上昇(尿・血清・髄液)、ピペコリン酸上昇(血清・髄液)、尿中6-オキソピペコリン酸上昇を認める。PNPO 欠損症では血清ピリドキサミン/4-ピリドキシン酸比上昇を認める。PLPHP 欠損症(PLPBP 欠損症)では特異的な代謝マーカーは知られていない。
参考文献
- Gospe SM Jr. Pyridoxine-Dependent Epilepsy – ALDH7A1. GeneReviews® [Internet]. Adam MP, et al. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 1993-2021
- Epileptic Syndromes In Infancy, Childhood and Adolescence (6th ed).Bureau M,et al.THOMAS&P.WOLF (2019) John Libbey Eurotext Ltd.
- 日本臨床 別冊神経症候群VI てんかん症候群 Page212-216.
対象の基準(疾病の状態の程度)
運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合
- 版
- :第1版
- 更新日
- :2021年11月1日
- 文責
- :日本小児神経学会