診断基準
A. 症状
- 発作中に発作焦点部位が移動する部分発作(多くは運動発作)。
- しばしば無呼吸、顔面紅潮、流涎などの自律神経症状を伴う。
- 発作は群発ないしシリーズをなして頻発する。
- 発症前の発達は正常であるが、重度の精神運動発達遅滞を残す。
B. 検査所見
- 1. 血液・生化学的検査:
- 特異的所見なし。
- 2. 画像検査:
- 初期には異常なく、病変はない。進行すると脳萎縮を示す。
- 3. 生理学的検査:
- 初期にはてんかん性波はまれで、背景波が徐波化を示す。その後、多焦点性棘波が出現する。発作中には脳波焦点が対側又は同側の離れた部分に移動し、一つの発作時発射が終わる前に次の発作時発射がはじまる。
C. 鑑別診断
鑑別する疾患は、新生児期のけいれん、急性脳炎・脳症、ピリドキシン依存症、ピリドキシンリン酸依存症、アルパース(Alpers)病、乳児の良性部分てんかん、家族性又は非家族性良性新生児けいれん、家族性良性乳児けいれん、早期ミオクロニー脳症。
D. 遺伝学的検査
KCNT1、SCN1A、PLCB1、SCN2A、SCN8A、TBC1D24、SLC25A22、SLC12A5、QARS などの変異。診断のカテゴリー
- Definite:
- 生後 6か月未満の児に A. 1. がみられ、B. 3. が確認されれば診断は確定する。
参考文献
- 須貝研司.片側巨脳症.希少てんかんの診療指標.日本てんかん学会, 東京, 診断と治療社, 2017:38-40.
対象の基準(疾病の状態の程度)
運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合
- 版
- :第1版
- 更新日
- :2021年11月1日
- 文責
- :日本小児神経学会