診断方法
【診断基準】
プロテインSは、血中で約60%が補体系蛋白のC4b結合蛋白(C4bp)と結合しており、抗血栓活性を示すのは
C4bpと結合していない遊離型のみである。従って、診断に際しては、活性と総抗原量以外に遊離型プロテイン
S抗原量も測定する必要がある。総抗原量、遊離型抗原量および活性がほぼ並行して約50%以下を示す病型
(タイプI)、総抗原量と遊離型抗原量は正常であるが活性が約50%以下の分子異常病型(タイプII)と、総抗原
量は正常であるが遊離型抗原量および活性が約50%以下の病型(タイプIII)に分類される。基本的に各病型は
ヘテロ接合体であるが、2種の異なる遺伝子異常が重なり、活性がほぼ0%となるダブルへテロ接合体も報告
されている。
【主要な症状】
アンチトロンビン欠乏症と同様の下肢深部静脈血栓症を若年期から反復する、ときに肺血栓塞栓症を呈する。
動脈性血栓はきわめてまれである。
【診断に有用な検査所見】
プロテインSもプロテインCと同様に肝臓で産生されるビタミンK依存性抗凝固因子であり、先天性プロテインS
欠乏症の診断に際しては、プロテインC欠乏症と同様の注意が必要である。
(プロテインC欠乏症の項参照)
血漿プロテインS活性も年齢とともに上昇して成人レベルに達する。また二次的に低下することがある。したがって、生理的な活性の基準値(参考文献4)を参考に、家族歴と活性値の動態から先天性欠乏症を疑って、遺伝子診断をすすめることが望ましい。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会