診断方法
臨床症状、臨床検査に基づいて行う。
- 臨床症状 ファーバー病は、重症度や障害部位により、6つの臨床病型に分類されるが、その他にプロサポシン(prosaposin)欠損症も類似した病態を呈する。
- 古典型(1型):生後2週間〜4か月以内に発症することが多く、皮下結節、関節炎(おもに四肢関節の腫脹と疼痛)、喉頭障害(嗄声)の3主症状を認める。次第に関節の腫脹は消失するが、関節や腱にびまん性の結節を認める。関節可動域制限や拘縮を認め、体動が困難となる。喉頭蓋や咽頭の腫脹により嚥下困難や呼吸障害を認め、失声となることもある。また、眼底所見としてチェリーレッドスポットを認めたり、進行性の神経症状や肺障害を生じることも多い。肺炎を繰り返し、2歳までに肺障害が進行し死亡することが多い。
- 中間型(2型)、軽症型(3型):皮下結節、関節痛、関節拘縮、嗄声、呼吸障害を呈するが、神経症状はないかあっても軽微である。
- 新生児型(4型):新生児期から重度の神経症状や肝脾腫、重症例では胎児水腫を認める。
- 進行性神経障害型(5型):1−2歳半頃から発症し、進行性の中枢神経障害、四肢麻痺、失声、ミオクローヌス、けいれん、精神運動発達遅滞を認める。
- サンドホフ病合併型(6型):サンドホフ病(Sandhoff disease)に1型ファーバー病を合併したもの
- プロサポシン欠損型(7型):サポシン前駆体、プロサポシンの責任遺伝子であるPSAP遺伝子の異常によりプロサポシン欠損をきたし、サポシンA, B, C, Dすべての完全欠損となり、酸性β-グルコシダーゼ、ガラクトセレブロシダーゼ、セラミダーゼのすべての酵素活性低下を生じ、臨床症状はゴーシェ病に類似している
- 臨床検査
- 皮下結節や障害組織の光学顕微鏡所見では、肉芽腫形成、PAS(periodic acid-schiff)染色陽性の脂質封入体や泡沫細胞を認める。電子顕微鏡所見では、曲線の管状構造物のFarber bodyを認める。
- 皮下結節、肝臓の生検、尿を用いた薄層クロマトグラフィー(thin-layer chromatography; TLC)、高速液体クロマトグラフィー(high-performance liqid chromatography; HPLC)、ガスクロマトグラフィー(gas chromatography)質量分析で過剰なセラミドを認める。正常組織では認めないα-ヒドロキシ脂肪酸を認める。
- 白血球、血漿、培養皮膚線維芽細胞、羊水細胞などでの酸性セラミダーゼ活性低下を認める。
- 遺伝子解析で、N-acylsphingosine amidohydrolase 1(ASAH1)遺伝子またはPASP遺伝子に変異を認める。
疑診:上記臨床症状に、aおよびbを認めれば強く疑う。
確定診断:c、あるいはdを認める。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン2.0
- 更新日
- :2015年5月14日
- 文責
- :日本先天代謝異常学会