診断方法
(1) 下記の症状・臨床検査から糖原病I型を疑う。
主要症状:空腹時の低血糖症状、肝腫大注、腹部膨満、人形様顔貌、低身長、成長障害
出血傾向(鼻出血)、易感染性(Ib型)。
参考となる検査所見:
① 空腹時低血糖
② 空腹時血中乳酸の上昇
③ 肝機能障害
④ 低血糖時の代謝性アシドーシス
⑤ 高尿酸血症
⑥ 好中球減少(Ib型)
⑦ 画像検査
超音波検査、CT, MRIで肝腫大を認める。グリコーゲン蓄積のため、肝超音波検査のエコー輝度、肝臓CTの信号強度ともに上昇する。高脂血症の程度により脂肪沈着のためCT値が低下する場合もある。
⑧ 肝生検: 肝組織にグリコーゲンの著明な蓄積と脂肪肝を認める。(診断のために必須ではない)
肝筋型糖原病(IIIa型、IIId型、IXb型)では筋組織に著明なグリコーゲンの蓄積を認める。
(2)診断の根拠となる特殊検査:
①食後の乳酸値の変化あるいはグルコース負荷試験
空腹時に高乳酸血症を呈し、食後もしくはグルコース負荷で乳酸値が低下する症例では糖原病I型の疑いが強い。
②遺伝子解析:遺伝子診断にて病因となる遺伝子変異を同定する。
Ia型にはG6PC遺伝子に日本人好発変異(727g>t変異 [現行表記c. 648G>T])がIb型にはG6PT1遺伝子に好発変異p.W118Rがある。
③ 酵素診断:肝組織の酵素活性欠損もしくは低下を証明する。Ib型の診断には非凍結肝を用いる必要がある。
診断基準
①主要症状または参考となる検査所見のうち、肝腫大を認め、肝機能障害、もしくは低血糖のいずれか1つが存在し、グルコース負荷試験で乳酸低下を認めた場合は、糖原病I型の疑診例とする。
②酵素活性の低下もしくは遺伝子解析で病因となる遺伝子変異を確認したものを確定診断例とする。
注:肝腫大は乳児期には発現するが、発現時期は様々であることを考慮して診断を進める必要がある。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本先天代謝異常学会