診断の手引き

  1. 先天性代謝異常
  2. 大分類: アミノ酸代謝異常症
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高チロシン血症2型

こうちろしんけっしょうにがた

Tyrosinemia type 2

告示

番号:9

疾病名:高チロシン血症2型

診断方法

(1)下記の症状から高チロシン血症を疑う

高チロシン血症I型
急性型;重度の肝不全、嘔吐、出血、敗血症、低血糖、尿細管障害
慢性型;肝腫大、肝硬変、成長障害、くる病、血腫、尿細管障害、神経障害

高チロシン血症II型
I型、III型と比較して血中チロシン値が高いのが特徴である。I型でみられるような肝・腎障害は認められない。皮膚においては過剰角化、びらんが手掌・足底に好発する。また角膜でも、びらん・潰瘍が生じる。

高チロシン血症III型


(2)診断のための検査

①タンデムマス検査
スクリーニング検査として行われているが、診断や経過観察にも有用である。
高チロシン血症I型 チロシン >200 nmol/mL、血中サクシニルアセトン >10 nmol/mL
高チロシン血症II型 チロシン >1,000 nmol/mL程度になることが多い
高チロシン血症III型 チロシン >500程度nmol/mL程度になることが多い

②血中アミノ酸分析(HPLC法) 診断に必須である
高チロシン血症1型 チロシン >200 nmol/mL、血中サクシニルアセトン >10 nmol/mL
高チロシン血症II型 チロシン >1,000 nmol/mL程度になることが多い
高チロシン血症III型 チロシン >500程度nmol/mL程度になることが多い

③尿中アミノ酸分析
尿中へのチロシン排泄の増加を認める

④尿有機酸分析
高チロシン血症1型:診断に必須である。尿中サクシニルアセトンの上昇を認める
高チロシン血症II型:4-ヒドロキシフェニルピルビン酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸、4-ヒドロキシフェニル酢酸が大量に見出される。
高チロシン血症III型:4-ヒドロキシフェニルピルビン酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸、4-ヒドロキシフェニル酢酸が大量に検出される。

⑤酵素活性測定
各疾患の酵素活性を測定する。

⑥遺伝子解析
各疾患の原因遺伝子変異を確認する。

(3)確定診断

上記の臨床症状を認め、診断の根拠となるアミノ酸分析、尿有機酸分析で特異的所見を認めるものとする。II型、III型の鑑別では酵素活性の測定、または遺伝子解析が必要となることもある。

当該事業における対象基準

疾患名に該当する場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本先天代謝異常学会