診断の手引き

  1. 悪性新生物
  2. 大分類: リンパ腫
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未分化大細胞リンパ腫

みぶんかだいさいぼうりんぱしゅ

Anaplastic large cell lymphoma

告示

番号:90

疾病名:未分化大細胞リンパ腫

診断方法

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主症状

リンパ節性あるいは節外性に発生するが、骨、皮膚,腎臓などの節外性が多い。
一般には腫瘤形成に気づくことで発見されることが多い。

検査所見

病理形態学的特徴

最も頻度が高いcommon type では、多形性の強い大型リンパ球のシート状増殖を特徴とする。診断の根拠となる腫瘍細胞(hallmark cell ; 大型で花冠状、馬蹄状、あるいは腎形の核を有し、淡染性~好塩基性の広い細胞質をもつ)は容易に認識される。リンパ洞への腫瘍細胞浸潤(sinusoidal infiltration)がしばしばみられる。血管を腫瘍細胞が取り囲むように増殖するperivascular accumulation はcommon type ではあまりみられない。

Small cell variantでは、腫瘍細胞は大部分が小型から中型で、hallmark cell はみられるがごく少数である。
hallmark cell はCD30 陽性であるが、小型の腫瘍細胞はCD30 弱陽性である。ALK 染色では、hallmark cell は核と細胞質に陽性となるが、小型の腫瘍細胞では核のみに陽性となる(t(2;5)例の場合)。腫瘍細胞のperivascular accumulation がみられ、血管へ浸潤している例もある。間質の浮腫もよくみられる所見である。

lymphohistiocytic variant では、反応性の組織球の増生が著明でhallmark cell はcommontype に比べ小型であり目立たない。ときに組織球による赤血球貪食像がみられる。腫瘍細胞のperivascular accumulation がみられる。これらのvariant が同一のリンパ節に混在する場合はmixed variant とし、認識できるvariant を併記する。 Hodgkin-like variant はReed-Sternberg 細胞類似の腫瘍細胞と炎症細胞浸潤からなるnoduleが、線維性の隔壁に囲まれているものである。WHO 分類ではその存在が否定的に扱われているが、該当例は確かに存在するようである。

上記以外に、monomorphic、hypocellular、neutrophil rich、sarcomatoid、signet-ring cell、giant cell rich などのWHO分類に含まれないvariant も知られている。これらはunclassifiable として扱われるが、もしみられた場合には中央病理診断報告書に記載する。

免疫染色所見

腫瘍細胞はCD30 陽性、CD15 陰性で、大半はALK1 陽性、EMA 陽性であり、Tまたはnull 細胞のいずれかの免疫表現型を呈する。T 細胞型の比率が高いが、T 細胞関連分子の発現は変則的なことが多い。
ひとつ以上のT細胞関連分子(上記必須マーカー参照)陽性かつB細胞関連分子(CD20)陰性のものをT細胞型とし、TおよびB細胞関連分子がいずれも陰性のものをnull 細胞型とする。CD43 はcytotoxic molecule 発現との関連が強く、有用とされている。
ALK 陽性例の染色パターンは、細胞遺伝学的所見と関連することが知られている(例えばt(2;5)例では核、細胞質ともに陽性となるが、5q35 以外との転座例では細胞質のみ陽性となる、など)10,13,14,20,21)。このため、ALK の染色態度についても報告書に記載する。マチンは繊細、分布も一様で核小体は小さく、核膜は薄い。初期には既存の構造を温存して浸潤する傾向を示す。starry sky patternや細胞が一列に並んだsingle file patternが見られることもある。

ALK陰性例の診断

ALK 陰性例は以下の条件すべてに合致した場合のみALCL と診断される。

  1. ALK 染色を再検しても、なお陰性である
  2. ALCL に特徴的な組織所見(hallmark cell やsinusoidal infiltration など)を呈する
  3. CD30、EMA 陽性
  4. CD20、CD79a 陰性で、少なくともひとつのT細胞関連分子陽性
  5. 他のT細胞型リンパ腫(CD3強陽性、bcl-2 陽性)やHodgkin リンパ腫(CD15 陽性、EBV陽性)が除外できる

診断

原則として、病理組織学的検査により診断する。

参考文献

  1. Jaffe ES, Harris NL, Stein H et al. WHO classification of tumors, pathology and genetics, tumors of hematopoietic and lymphoid tissues. IARC press,Lyon, 2001
  2. 小児腫瘍カラーアトラス 第1巻悪性リンパ腫、白血病および関連病変 日本病理学会小児腫瘍組織分類委員会編集、金原出版、2002
  3. 悪性リンパ腫臨床と病理―WHO分類(第4版)に基づいて 吉野正ほか、先端医学社、2009

当該事業における対象基準

組織と部位が明確に診断されている場合。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児血液・がん学会