診断方法
診断は病理組織診断によるが、治療は病変の広がりに基づく病期分類によることから、最初にこの二つの評価を正確に行うことが大変重要である。病理組織診断ならびに細胞表面抗原などの細胞生物学的解析のためには、十分な組織を得ることが極めて重要であり経皮的針生検は推奨されない。切開生検が基本であり、十分な腫瘍の塊あるいはリンパ節の場合はもっとも大きなリンパ節を採取することが肝要である。細胞診断は、腫瘍細胞のある骨髄血、胸腹水でも可能であるが、できる限り細胞診断と組織診断の両方を行うようにする。最初に行うべき検査は、血算、腎機能、肝機能、電解質、LDHを含む末梢血液検査であるが、病期を確定するために、胸腹部から骨盤部のCT,両側の骨髄穿刺・生検,髄液検査による細胞診を行う。血清LHDは、腫瘍床を反映することからリスク分類として使用される。他のリンパ腫同様に18-fluoro-2-deoxyglucose positron emission tomography (FDG-PET)はより鋭敏であるが、B-NHLにおける臨床的価値についてはいまだに慎重な判断を要する。リンパ腫の分類は、当初Ann Arbor分類が用いられたが、小児NHLにおいては成人NHLや小児も含むHLの場合とは異なり、節外性の進展病変が多く予後を反映するには十分であるとは言えなかった。このため、小児NHLに対しては、Murphy分類を改変したSt. Jude分類が広く用いられている(大分類3.リンパ腫の詳細はこちら)。小児NHLの約40%はstage I, IIの限局性に分類され、残りがIII, IVの進展例となる。リンパ腫か白血病かの区分は骨髄への芽球細胞比率により、25%以上の場合はNHLではなく成熟B細胞性白血病 (B-ALL)となる。白血病の場合とは異なり、髄液中に腫瘍細胞が認められた場合は、その数によらず中枢神経浸潤ありとする。BLに特徴的な遺伝子異常としてMYC遺伝子の変異が挙げられるが、この異常は時にDLBCLにおいても認められることがあるということは認識しておく必要がある。
参考文献
- Gross TG, Kamdar KY, Bollard CM: Malignant Non-Hodgkin Lymphoma in Children. Blaney SM, Adamson PC, Helman LJ. Pizzo and Poplack’s Pediatric Oncology, 8th Edition, Wolters Kluwer, 2020: 538-553.
- 中澤温子:小児リンパ腫の病理,日小血会誌24:230-233, 2010.
当該事業における対象基準
組織と部位が明確に診断されている場合。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会