診断の手引き

  1. 脈管系疾患
  2. 大分類: 脈管奇形
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青色ゴムまり様母斑症候群

あおいろごむまりようぼはんしょうこうぐん

Blue Rubber Bleb Nevus Syndrome

告示

番号:1

疾病名:青色ゴムまり様母斑症候群

状態の程度

疾病による症状がある場合又は治療が必要な場合

診断基準

A 症状

0.1~5cm 程度の青色~黒色のゴム乳首様と例えられるような皮膚の静脈奇形が多発してみられることが特徴的であるが、小児期には皮膚病変が顕著でなく、成長とともに病変が目立つようになることが多い。静脈奇形内に静脈石を形成したり血栓性静脈炎を併発したりすると疼痛が出現する。
また皮膚のみでなく、中枢神経、肝臓、脾臓、腎臓、肺、心臓、甲状腺、筋肉などにも病変を伴う。臨床的に最も重要なのは、消化管に多発する静脈奇形により、様々な程度の消化管出血と鉄欠乏性貧血を生じることである。消化管病変が先行し、原因不明の消化管出血とされる症例もある。


B 検査所見

消化管病変の検索には内視鏡、とくにカプセル内視鏡が有用である。他の臓器の検査にあったてはCTやMRIなどの画像検査が用いられる。
血液検査では慢性的消化管出血に起因する鉄欠乏を伴う小球性貧血を認めることが多い。また、慢性的な血液貯留によって静脈奇形内での凝固因子の消費が生じ、D-Dimerの上昇、フィブリノーゲンや血小板数の低下、FDPの上昇などを示すことがあり、localized intravascular coagulopathy (LIC)と呼ばれ、カサバッハ・メリット現象とは区別される。
病変部位の病理学的所見は結合組織中に拡張した血管を認め、血管壁は薄く内腔は不規則で、平滑筋細胞を欠損していることも多い。


C 遺伝学的検査等

血管新生に関わるTIE2遺伝子の関与を示唆する報告もあるが、多数例においての確認は行われておらず、原因遺伝子として確定していない。


D 鑑別診断

皮膚病変の鑑別としてOsler病、Maffucci症候群、多発性グロムス腫瘍などが挙げられる。


E-1 確実例

全身の皮膚および消化管を中心とした多臓器に静脈奇形を認める。消化管病変は内視鏡による確認を行うことが望ましい。


E-2 疑い例

皮膚病変はわずか、あるいはみられないが、消化管に多発する静脈奇形がある。

参考文献

  • 血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017. 平成26-28年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症及び関連疾患についての調査研究」班
:バージョン1.0
更新日
:2018年1月31日