診断の手引き

  1. 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
  2. 大分類: 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
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メビウス(Moebius)症候群

めびうすしょうこうぐん

Moebius syndrome

告示

番号:28

疾病名:メビウス(Moebius)症候群

状態の程度

染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群の基準(ア)または(ウ)を満たす場合

【基準(ア)】
症状として、けいれん発作、意識障害、体温調節異常、骨折又は脱臼のうち一つ以上続く場合であること。

【基準(ウ)】
治療で呼吸管理(人工呼吸器、気管切開術後、経鼻エアウェイ等の処置を必要とするものをいう。)、酸素療法又は胃管、胃瘻、中心静脈栄養等による栄養のうち一つ以上を行う場合であること。

診断基準

A 症状

1)先天性・非進行性顔面神経麻痺及び先天性・非進行性外転神経麻痺(片側性も含む)。
2)除外項目:他の神経筋疾患を原因としない。

≪診断のポイント≫
表情に乏しく、眉間をタップしても閉眼せず、目で物を追うときに眼球を動かさず、首を回旋させる。
眼球運動失行(水平衝動性眼球運動の開始障害)は、無意識の状態では眼は全く制限なく正常に動くが、物を見ようとすると眼を動かすことが出来ないことで鑑別する。
≪補助項目≫
呼吸障害、哺乳障害、嚥下障害、舌低形成、舌線維束性攣縮、難聴、内反尖足、中枢神経系画像診断(脳幹の低形成/萎縮を含む形態異常、脳幹石灰化、小脳低形成、第6・第7脳神経の欠損又は低形成)。


D 鑑別診断

遺伝性先天性顔面神経麻痺、先天型筋強直性ジストロフィー、リー(Leigh)脳症、代謝性疾患、橋小脳低形成、pontine tegmental cap dysplasia、周産期脳障害(メビウス症候群でも合併する可能性はあり、新生児期早期のMRIによる鑑別診断が必要)など。
:バージョン1.0
更新日
:2018年1月31日
文責
:日本小児遺伝学会