診断の手引き

  1. 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
  2. 大分類: 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
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コフィン・シリス(Coffin-Siris)症候群

こふぃん・しりすしょうこうぐん

Coffin-Siris syndrome

告示

番号:13

疾病名:コフィン・シリス(Coffin-Siris)症候群

状態の程度

染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群の基準(ア)、基準(イ)又は基準(ウ)を満たす場合

【基準(ア)】
症状として、けいれん発作、意識障害、体温調節異常、骨折又は脱臼のうち一つ以上続く場合であること。

【基準(イ)】
治療で強心薬、利尿薬、抗不整脈薬、抗血小板薬、抗凝固薬、末梢血管拡張薬又はβ遮断薬のうち一つ以上が投与されている場合であること。

【基準(ウ)】
治療で呼吸管理(人工呼吸器、気管切開術後、経鼻エアウェイ等の処置を必要とするものをいう。)、酸素療法又は胃管、胃瘻、中心静脈栄養等による栄養のうち一つ以上を行う場合であること。

診断基準

A 症状

大基準:
1.第5指爪と末節骨の低~無形成
2.発達遅滞、知的障害
3.顔貌上の特徴
特徴の強い(coarseness)顔貌を呈する場合もあれば(古典型/A 型)、それほど特徴の強くない場合もある(バリアント型/B 型)が以下を参照。
・濃い眉毛と長い睫毛~薄く細く弓状の眉毛
・幅広い鼻梁・鼻先
・厚い上下口唇を伴った幅広い口~薄い上口唇

小基準:
4.外胚葉系の異常(多毛、濃い眉毛、長い睫毛、頭髪は薄い)
5.成長障害(小頭症、子宮内発育遅延、低身長、体重増加不良、反復性感染症)
6.臓器異常(先天性心疾患、摂食障害、胃腸の異常、泌尿器の異常、脳奇形とけいれん、視覚異常、難聴)


C 遺伝学的検査等

ARID1A 遺伝子、ARID1B 遺伝子、SMARCB1 遺伝子、SMATCA4 遺伝子、SMARCE1 遺伝子、PHF6 遺伝子、SOX11 遺伝子に変異を認める。


E-1 確実例

確定診断例、臨床診断例を対象とする。
原因遺伝子(ARID1A 遺伝子、ARID1B 遺伝子、SMARCB1 遺伝子、SMATCA4 遺伝子、SMARCE1 遺伝子、PHF6 遺伝子、SOX11 遺伝子等)のいずれかに変異を認めればコフィン・シリス症候群と診断が確定する。変異を認めない場合もあり、乳・幼児期より(1)の大基準を全て認めれば臨床診断する。
:バージョン1.0
更新日
:2018年1月31日
文責
:日本小児遺伝学会