診断の手引き

  1. 慢性消化器疾患
  2. 大分類: ポリポーシス
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カウデン(Cowden)症候群

かうでんしょうこうぐん

Cowden syndrome

告示

番号:38

疾病名:カウデン(Cowden)症候群

状態の程度

疾病名に該当する場合

診断基準

A 症状

I 特徴的基準
・成人型Lhermitte-Duclos病(LDD、小脳異形成神経節細胞腫)
・粘膜皮膚病変:顔面•外毛根鞘腫、四肢末端角化症、乳頭腫様病変
II 大基準
・乳癌
・甲状腺癌(乳頭癌または濾胞性甲状腺癌)
・巨頭症(巨大頭蓋症)(頭囲 ≧ 97パーセンタイル)
・子宮内膜癌
III 小基準
・他の甲状腺病変(例:腺腫,腺腫様甲状腺腫)
・知的障害(IQ ≦ 75)
・消化管過誤腫
・乳腺線維嚢胞性疾患
・脂肪腫
・線維腫
・泌尿生殖器腫瘍(例:子宮筋腫、腎細胞癌)
・泌尿生殖器奇形


B 検査所見

診断の参考となる検査所見
・一般検査
 消化管ポリープから慢性出血をきたすと便潜血陽性、血液検査で貧血の所見を認める。蛋白漏出性胃腸症を合併すると、低蛋白血症をきたす。
・消化管内視鏡検査
 上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、小腸内視鏡検査(小腸カプセル内視鏡検査またはバルーン小腸内視鏡検査)で多発性のポリープを認める。食道の白色扁平隆起として観察されるglycogen acanthosisの多発は特徴的な所見である。
・病理組織学的検査
 切除されたポリープの病理組織所見は通常、過形成または過誤腫である。
・頭部画像診断
 LDDの合併例では、頭部画像検査で小脳の片側に腫瘍を認め、病理学的には過誤腫またはdysplasiaである。
・超音波検査
 腹部超音波検査で高率に脂肪肝を合併するほか、甲状腺・子宮・泌尿生殖器、血管奇形のスクリーニングに超音波検査が有用である。


C 遺伝学的検査等

PTEN遺伝子(保険適用外)


D 鑑別診断

家族性腺腫性ポリポージス、若年性ポリポーシス、ポイツ・ジェガース症候群、結節性硬化症、炎症性ポリポーシス、serrated polyposis 症候群、クロンクハイト・カナダ症候群、遺伝性混合ポリポーシス症候群


E-1 確実例

■家族歴のない症例の診断判定
下記基準の内いずれか一つを満たす場合に行われる:
1. 特徴的基準の粘膜皮膚病変のみで、以下のうちどれかを認める場合
(a) 顔面に6つ以上の丘疹を認め,その内の3つ以上が外毛根鞘腫
(b) 顔面皮膚丘疹と口腔粘膜乳頭腫症
(c) 口腔粘膜乳頭腫症と四肢末端角化症
(d) 6カ所以上の掌蹠角化症
2. 大基準を2つ満たし、そのうち1つが巨頭症である、または大基準2つを満たし、特徴的基準のLDDを有する
3. 大基準を1つ、小基準を3つ満たす
4. 小基準を4つ満たす

■カウデン(症候群と診断された患者家族の診断判定
1. 特徴的基準を1つ満たす
2. 大基準を1つ、小基準はあってもなくても良い。
3. 小基準を2つ満たす
4. バナヤン・ライリー・ルバルカバ症候群と診断された既往がある。

参考文献

  • 厚労省難治性疾患政策研究事業 「消化管良性多発腫瘍好発疾患の医療水準向上のための研究(H27-難治等(難)-一般-003)」 研究代表者 石川秀樹
:バージョン1.0
更新日
:2018年1月31日
文責
:日本小児栄養消化器肝臓学会