状態の程度
運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)が続く場合又は治療として強心薬、利尿薬、抗不整脈薬、末梢血管拡張薬、β遮断薬、肺血管拡張薬、呼吸管理(人工呼吸器、気管切開術後、経鼻エアウェイ等の処置を必要とするものをいう.)、酸素療法、中心静脈栄養若しくは経管栄養の一つ以上を継続的に行っている場合
診断基準
A 症状
乳幼児期早期より、運動発達遅滞、筋力低下、筋緊張低下を主症状とする.一般に病気の進行に伴い側弯症や関節拘縮などの骨格変形を伴うことが多い.いったん獲得した場合においても歩行機能の喪失、呼吸筋障害や心筋障害による慢性呼吸不全・心伝導障害・心不全もすくなからず存在する.
B 検査所見
血清CK:筋の壊死を反映し,大半の筋ジストロフィーで高値を示す.その程度は筋ジストロフィーのタイプによっておよそ決まっている.
針筋電図:安静時活動電位,低電位,最大振幅の低下,早期動員など非特異的な筋原性の所見を認める.
骨格筋画像:CT,MRIは骨格筋の萎縮,肥大,脂肪化の評価に有用である.タイプにより障害を受ける筋に違いを認める傾向がある.
筋病理:現在においても確定診断に最も有効な評価法であり,免疫組織学的手法などを用いることでさらに病態に迫る所見を得ることが可能である.侵襲的な検査であるため,適応をよく検討したうえで施行する.
遺伝子診断:福山型では確定診断のため遺伝子診断を保険診療のなかで行うことができる.
C 遺伝学的検査等
遺伝子診断:福山型では確定診断のため遺伝子診断を保険診療のなかで行うことができる.次世代シークエンサーなどを用いた病因遺伝子解析によって確定診断が得られる場合がある.
D 鑑別診断
乳幼児期早期より運動発達遅滞や筋緊張低下を示す先天性ミオパチー、先天性筋強直性ジストロフィー、中枢神経障害、Prader-Willi症候群などが鑑別にあげられる.
E-1 確実例
1. 筋力低下、運動発達遅滞の存在
2. 血清CK値高値(一過性の上昇は除く)
3. 筋病理にて骨格筋の壊死・再生などの筋ジストロフィー変化
4. 病因遺伝子の遺伝子変異の同定
5. 免疫学的検索による責任蛋白質の欠損・異常蛋白質発現の確認
6. 同一家系内に遺伝学的又は免疫学的検索で診断の確定した類症者が存在し、遺伝形式が当該疾患と矛盾しない
1に加えて3もしくは4もしくは5を認める場合
E-2 疑い例
1.筋力低下、運動発達遅滞の存在
2.血清CK値高値(一過性の上昇は除く)
3.筋病理にて骨格筋の壊死・再生などの筋ジストロフィー変化
4.病因遺伝子の遺伝子変異の同定
5.免疫学的検索による責任蛋白質の欠損・異常蛋白質発現の確認
6.同一家系内に遺伝学的又は免疫学的検索で診断の確定した類症者が存在し、遺伝形式が当該疾患と矛盾しない
1に加えて2と6を認める場合
乳幼児期早期より、運動発達遅滞、筋力低下、筋緊張低下を主症状とする.一般に病気の進行に伴い側弯症や関節拘縮などの骨格変形を伴うことが多い.いったん獲得した場合においても歩行機能の喪失、呼吸筋障害や心筋障害による慢性呼吸不全・心伝導障害・心不全もすくなからず存在する.
B 検査所見
血清CK:筋の壊死を反映し,大半の筋ジストロフィーで高値を示す.その程度は筋ジストロフィーのタイプによっておよそ決まっている.
針筋電図:安静時活動電位,低電位,最大振幅の低下,早期動員など非特異的な筋原性の所見を認める.
骨格筋画像:CT,MRIは骨格筋の萎縮,肥大,脂肪化の評価に有用である.タイプにより障害を受ける筋に違いを認める傾向がある.
筋病理:現在においても確定診断に最も有効な評価法であり,免疫組織学的手法などを用いることでさらに病態に迫る所見を得ることが可能である.侵襲的な検査であるため,適応をよく検討したうえで施行する.
遺伝子診断:福山型では確定診断のため遺伝子診断を保険診療のなかで行うことができる.
C 遺伝学的検査等
遺伝子診断:福山型では確定診断のため遺伝子診断を保険診療のなかで行うことができる.次世代シークエンサーなどを用いた病因遺伝子解析によって確定診断が得られる場合がある.
D 鑑別診断
乳幼児期早期より運動発達遅滞や筋緊張低下を示す先天性ミオパチー、先天性筋強直性ジストロフィー、中枢神経障害、Prader-Willi症候群などが鑑別にあげられる.
E-1 確実例
1. 筋力低下、運動発達遅滞の存在
2. 血清CK値高値(一過性の上昇は除く)
3. 筋病理にて骨格筋の壊死・再生などの筋ジストロフィー変化
4. 病因遺伝子の遺伝子変異の同定
5. 免疫学的検索による責任蛋白質の欠損・異常蛋白質発現の確認
6. 同一家系内に遺伝学的又は免疫学的検索で診断の確定した類症者が存在し、遺伝形式が当該疾患と矛盾しない
1に加えて3もしくは4もしくは5を認める場合
E-2 疑い例
1.筋力低下、運動発達遅滞の存在
2.血清CK値高値(一過性の上昇は除く)
3.筋病理にて骨格筋の壊死・再生などの筋ジストロフィー変化
4.病因遺伝子の遺伝子変異の同定
5.免疫学的検索による責任蛋白質の欠損・異常蛋白質発現の確認
6.同一家系内に遺伝学的又は免疫学的検索で診断の確定した類症者が存在し、遺伝形式が当該疾患と矛盾しない
1に加えて2と6を認める場合
参考文献
- Wang CH, et al. Consensus statement on standard of care for congenital muscular dystrophies. J Child Neurol. 2010;25(12):1559-81.
- Fu XN, et al. Genetic and Clinical Advances of Congenital Muscular Dystrophy Chin Med J (Engl). 2017; 130: 2624?2631.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2018年1月31日
- 文責
- :日本小児神経学会