1. 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
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アントレー・ビクスラー(Antley-Bixler)症候群

あんとれー・びくすらーしょうこうぐん

Antley-Bixler Syndrome

告示

番号:8

疾病名:アントレー・ビクスラー(Antley-Bixler)症候群

概念・定義

頭蓋・顔面骨縫合早期癒合を来す疾患群であり、頭蓋・顔面の異常、頸部・気管の異常及び四肢の異常を認め、疾患ごとに症状が異なる。代表的な疾患を挙げるとクルーゾン症候群、アペール症候群、ファイファー症候群、アントレー・ビクスラー症候群などがある。

病因

アントレー・ビクスラー症候群は主にPOR(Cytochrome P450 oxidoreductase)の変異である。しかし、詳細な発症の機序は不明である。

疫学

男女比は1:1である。欧米に比べ、日本人にやや多い可能性がある。

臨床症状

頭蓋骨早期癒合のため、脳の発達が妨げられ、眼球突出が認められることがある。上腕骨橈骨癒合のため、肘の関節の運動が制限される。肘以外の関節も、曲がりにくいことがある。このほかに、鼻や気管が狭いため、呼吸が苦しくなりやすい場合もある。鼻や耳の形にも特徴がある。ステロイドホルモンが不足するため、男の子では性器の発育不全を生じるが、女の子では逆に陰核が肥大した状態で生まれることがある。また、慢性副腎不全という状態となり、疲れやすかったり、体重が増えないという症状がでることもある。

治療

ステロイドホルモンのうち、副腎ホルモンに関しては、補充療法が必要となることが多い。女のお子さんは、思春期以降に女性ホルモンの投与を行うこともある。頭蓋と顔面に対しては、頭蓋や顔面骨を広げる手術を行う。近年では、広げたい骨の所に延長装置を取り付けて毎日少しずつ伸ばしていく骨延長法を行うことが多くなっている。

予後

ステロイドの服用と適切な時期に手術を受けることで予後は比較的良い。しかし、成人までに複数回の手術を要する。

成人期以降の注意点

ステロイドの服用を忘れないこと。また頭蓋内圧亢進症状による頭痛や嘔吐・吐き気、あるいは呼吸状態に注意を払う必要がある。
:バージョン1.0
更新日
:2018年1月31日
文責
:日本小児遺伝学会