1. 慢性消化器疾患
  2. 大分類: 総排泄腔異常症
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総排泄腔外反症

そうはいせつくうがいはんしょう

Cloacal extrophy

告示

番号:21

疾病名:総排泄腔外反症

概念・定義

総排泄腔外反症(以下本症)は、稀少難治性の先天性下腹壁形成異常で、臍帯ヘルニアの下方中心に外反した回盲部が存在し、その両側に二分した膀胱が外反して存在する。鎖肛を合併し大腸は短く、内・外性器異常、恥骨離開を有し、多くは腎奇形、仙骨奇形、下肢奇形、染色体異常、脊髄髄膜瘤なども合併する。生後から何回もの外科治療と長期入院が必要であるが、適切な治療方針には不明な部分が多い。女性の場合、内性器は双角に分離し子宮膣形成が必要で、男児では、陰核形成不全のため女児として育てられている例もある。成長しても、外陰形成、膣形成、膀胱拡大術、腎不全による腎移植の必要な例も多く、一生涯にわたるケアが必要である。

疫学

発生頻度は、出生15-20万人に1人とされ、性別では、若干女児に多い。過去20年間(1976-1995)の日本直腸肛門奇形研究会登録症例1992例の解析では、0.7%(14例)であった。

病因

胎生4週に4つの皺襞が合わさって体壁が形成されるが、この時期に腹部から骨盤にかけての下腹壁が形成されないために発生すると考えられ、腹壁が形成されないため回盲部の管腔形成が傷害され、腸管と膀胱が外反した状態になると考えられている。発生には、多因子が関与すると考えられ、ヒトにおける遺伝子異常は明らかにされていない。疫学調査では、体外受精、喫煙、向精神薬服薬などが報告されているが、明確な因果関係は不明である。

症状

臍帯ヘルニアを合併し、その下方に外反した膀胱と回盲部が存在する。鎖肛を合併し、外陰は形成不全のため肉眼的に男女の区別が困難である。男児の場合は性腺を鼠径部に触知することが多い。恥骨離開を伴っているため、下肢がやや外反した位置に存在する。外反している膀胱は機能が低下し、9割は排尿のためにカテーテル管理が必要となる。排便機能に関しては、大腸人工肛門管理となるが、大腸が短く仙骨神経機能不全を合併している約半数の症例では、肛門形成が不可能で永久人工肛門となる。肛門形成がなされた場合でも、排便は浣腸管理となる。髄膜瘤のため、歩行障害も出現する。腎奇形や膀胱尿管逆流により腎不全も長期的合併症として重要である。染色体男性で外陰形成不全のために女性として育児された場合、精巣からの男性ホルモンで脳に男性としてプリンティングされるため、精神的な葛藤の原因となる。男児として育てられた2/3は、男性としての性決定に満足している。

治療

新生児期は、外反回盲部閉鎖、大腸人工肛門造設、外反膀胱閉鎖、恥骨閉鎖を行い、生後3ヶ月から1歳半で、外陰形成、肛門形成、膀胱形成などの手術が施行されることもある。外陰部に痕跡でも外陰を有する場合は、男性として外陰形成を行う。現在の医療では機能的な男性外陰を作成することは不可能なため、外陰形成が困難と考えられる場合は、女性としての外陰形成を行う。性の決定は、将来の生殖器形成の必要性など両親を含めたチーム医療によるカウンセリングが前提となる。

予後

1960年に最初の手術生存例が発生するまでは死亡率が100%であったが、1980年代には生存率が90%にまで到達した。しかし、直腸肛門機能、排尿機能、生殖機能において大きな障害を有するため、生涯にわたる継続的治療や精神的カウンセリングが必要である。
:バージョン1.0
承認日
文責
:日本小児外科学会