1. 神経・筋疾患
  2. 大分類: 頭蓋骨縫合早期癒合症
37

クルーゾン (Crouzon) 病

くるーぞんびょう

Crouzon disease

告示

番号:32

疾病名:クルーゾン病

概要

複数の頭蓋骨縫合早期癒合に、顔面・上顎骨、手指・足趾、四肢の先天性形成不全を合併しているものを症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症という.通常は特徴的な顔貌を伴うため、頭蓋顔面異常とよばれることもある。 Crouzon病は症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症の代表的疾患の一つであるが、合指・趾症は伴わない.頭蓋内圧亢進・頭蓋変形・眼球突出に加え上気道狭窄・中顔面低形成症など多彩な症状を呈し、発症形態様式の個人差が極めて大きいことが知られている。常染色体優性遺伝疾患であるが弧発性に発生すること も少なくない。遺伝子解析ではFGFR2変異が高率に認められ、FGFR関連頭蓋骨縫合早期癒合症候群の代表的疾患でもある。

疫学

Crouzon病の頻度は出生25,000人あたり1名前後と推定されている。

病因

FGFR2 exon8あるいはexson10に80%以上の変異が認められる。黒色表皮腫を伴うCrouzon病ではFGFR3のAla391Glu変異が100%認められる。遺伝子診断の重要性は高い。常染色体優性遺伝疾患であるが25%程は弧発症例である。

症状

臨床症状の個人差が極めて大きいことが知られている。典型例では両側冠状縫合早期癒合に伴う短頭蓋変形を呈する。他にも舟状頭蓋、三角頭蓋、塔状頭蓋、クロバーリーフ症候群を示すこともある一方で、生下時にははっきりせず成長に伴い頭蓋変形が出現してくることもある。中顔面形態異常としては、眼球突出、咬合異常、気道狭窄を呈する。

合併症

精神運動発達遅滞、頭蓋内圧亢進、水頭症(5-10%)、脊椎形成異常(癒合椎、椎大抵形成・変形).二次的キアリ奇形の合併を高率に伴う。

治療法

短頭蓋及び前頭眼窩変形に対しては、頭蓋骨拡大形成術、頭蓋延長器装着術などが行われる。通常、1回の手術で完治することは難しく、複数回の手術を段階的に行う。水頭症を合併した場合は、頭蓋内圧亢進の程度・症状の有無及び重症度を検討し、治療の必要性及び治療時期を判断する。合併する気管狭窄に対しては重症例では早期に気管切開による呼吸管理が必要になることもある。呼吸障害・運動発達遅滞にキアリ奇形が関与していると考えられる場合には大後頭孔減圧術が必要となる。中顔面骨低形成に対する延長術は、可能であれば学童期以降まで待つことが望ましい。

研究班

Craniosynostosis研究会において、国内における頭蓋骨縫合早期癒合症の実態調査が開始されたところである。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児神経学会、日本小児神経外科学会