概念・定義
疫学
小児期白質変性疾患の中で最も高頻度だが、正確な頻度は不明
病因
原因として、eukaryotic translation initiation factor 2B (elF2B)と呼ばれる蛋白質をコードする遺伝子(EIF2B)が同定されている。elF2Bは5つのサブユニット(α,β,γ,δ,ε)からなり、いずれの遺伝子異常によってもVWMを引き起こす。EIF2B はmRNAの翻訳開始の重要な調節因子だが、大脳白質病変を引き起こす理由は解明されていない
症状
幼児期に発症し、慢性進行性の神経障害(小脳失調、腱反射亢進を伴う痙性麻痺、知的障害、視力障害、てんかん)を来たす。軽度の頭部外傷や感染に伴う発熱、恐怖のエピソード後、急激に運動機能障害が進行することがある。その他、卵巣機能不全、成長障害、白内障、肝脾腫、膵炎、腎低形成を合併することがある。成人発症例も報告されているが、一般的に発症が早い程重症で、数年の経過で死亡することがある
診断
臨床所見および以下のMRI所見から臨床診断する。頭部MRI T2, FLAIRで大脳白質のびまん性、対称性高信号を呈する。進行すると同部位が希薄化、嚢胞化し、脳脊髄液と同程度の信号強度となる。また、遺伝子解析によってEIF2Bの変異を同定する
治療
特異的治療はない。激しい接触を伴うスポーツを避ける、抗生剤やワクチン接種を含めた感染対策や発熱時に解熱薬を使用するなどが、急性増悪を避ける手段として考えられる。また、四肢の痙性や失調に対しリハビリや筋緊張緩和薬、てんかんに対し抗てんかん薬を使用する
予後
発症後2,3年で死亡することが多いが、数か月から数十年の経過を示すものもある
参考文献
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児神経学会