概念・定義
カナバン病はaspartoacylase(ASPA)の欠損によるN-acetyl-aspartate(NAA)の蓄積が、進 行性の中枢神経系障害を呈する白質変性症の1つである。多くは10年以内に死亡し、診断は尿中のNAAの著明な上昇(正常上限の20倍以上)、皮膚線維芽 細胞中のASPA活性の低下、特徴的な画像所見(頭部MRI上の白質病変)から行う。
疫学
まれ、現在本邦で1名が確認されている
原因
病因遺伝子は17番染色体短腕に存在し常染色体劣性遺伝形式をとり、近年、NAAの機能や遺伝子変異など本疾患に対する理解が深まりつつある。Ashkenazi Jewsに多く発症するが、日本では非常に稀な疾患である
症状
多くは乳児早期に精神運動発達遅滞、大頭、筋緊張低下、痙性、運動失調が出現する。その後、けいれんや視神経萎縮など認め、退行していく疾患である。そのほか、新生児期に低緊張と経口摂取不良を認める先天型と4-5歳で発症し緩徐に構音障害やけいれんが進行する若年型の報告例も見ら れる。また低緊張、痙性、睡眠障害、栄養障害の合併症がみられる。また現時点では根治療法はなく、対症療法にとどまる。痙攣に対しては抗てんかん薬の投与が行われるが難治例が多い。また痙性麻痺に対しては抗痙縮薬が用いられる。
(カナバン病の実態把握とケア指針作成のための研究班より)
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児神経学会