1. 先天性代謝異常
  2. 大分類: 脂質代謝異常症
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原発性高カイロミクロン血症

げんぱつせいこうかいろみくろんけっしょう

Primary hyperchylomicronaemia

告示

番号:36

疾病名:原発性高カイロミクロン血症

概要・定義

カイロミクロンの異化障害により高カイロミクロン血症、高トリグリセライド(TG)血症を呈する疾患であり、皮膚発疹性黄色腫や急性膵炎を発症する。家族性リポタンパクリパーゼ(LPL)欠損症、アポリポタンパクCII欠損症、原発性V型高脂血症、その他の高カイロミクロン血症に分類される。1,2)

疫学

LPL欠損症(ホモ接合体)の頻度は50~100万人に1人とされる1)。高カイロミクロン血症では、急性膵炎を発症しやすいことが問題となる。

病因

一般に、家族性LPL欠損症、アポリポタンパクCII欠損症、原発性V型高脂血症、その他に分類されている。

症状

急性膵炎の原因となることが多い。発疹性黄色腫、肝腫大を呈することがある。

診断

家族性LPL欠損症(ホモ接合体)は、乳児期から著明な高TG血症、カイロミクロンの増加を呈する(Ⅰ型高脂血症)。ヘパリン静注後のLPL活性・蛋白が欠損する。アポ蛋白CIIの欠損がないことも確認する。LPLの遺伝子変異は多くの報告がある。 アポリポタンパクCIIはLPLの活性化に必須である。この欠損症ではV型高脂血症(VLDLも増加)を呈する。アポ蛋白CII欠損を証明する。LPL蛋白は正常(または高値)である。 原発性V型高脂血症の病因は不明である。炭水化物や脂肪の過剰摂取で増悪する。LPL欠損症、アポCII欠損症がないことを示す。増悪因子がなくてもカイロミクロンの上昇は認められる。 特発性高カイロミクロン血症は、上記の疾患と続発性高カイロミクロン血症を除くものである。LPL活性を阻害する遺伝子異常が報告されている。

治療

厳格な脂肪摂取制限(1日20g以下)によりカイロミクロン上昇を抑制する1-3)。乳児期には中鎖脂肪酸(MCT)ミルクを用いる。専門医に紹介する3)。

予後

食事の注意が出来れば、通常の生活に支障はない。

成人期以降

成人期以降も小児期同様の食生活、膵炎についての注意が必要となる。

参考文献

1) 日本動脈硬化学会:その他の原発性高脂血症.動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド2013年版, 2013:84 2) 山下静也.原発性高カイロミクロン血症.日本臨床2013;71:1578-1583 3) 日本動脈硬化学会. その他の原発性高脂血症.日本動脈硬化学会(編), 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版, 2012; 81-84
:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会