1. 先天性代謝異常
  2. 大分類: 糖質代謝異常症
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59から73までに掲げるもののほか、糖質代謝異常症

がらくとーすむたろたーぜけっそんしょう

GALM deficiency

告示

番号:72

疾病名:57から71までに掲げるもののほか、糖質代謝異常症

疾患概念

ガラクトースの代謝経路において α-D-ガラクトースと β-D-ガラクトースの相互変換を促進するガラクトースムタロターゼ(GALM)の活性低下を原因とする常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患である1

疫学

公的ゲノムデータベースから求めた本症の保因者頻度から,我が国では約8万出生に1例の頻度で罹患者が発生していると推定されている2

病因

GALM 遺伝子にコードされるガラクトースムタロターゼの活性低下による。

病理・病態

ガラクトキナーゼ欠損症と同様に、蓄積したガラクトースから変換されるガラクチトールが病態の主な原因物質と考えられている。

臨床症状

白内障が報告されている1

検査所見

血中ガラクトース値は高値となり、血中ガラクトース-1-リン酸値は極めて低値または検出しない。ただし新生児期や乳児期早期では血中ガラクトース-1-リン酸値がある程度上昇することがある。

診断

診断の際の留意点/鑑別診断

血中ガラクトース値および血中ガラクトース-1-リン酸値のパターンは、ガラクトキナーゼ欠損症とガラクトースムタロターゼ欠損症は類似した傾向を示すため、両者の鑑別には遺伝学的検査が必要である。また血中ガラクトース上昇を起こしうる以下の疾患を鑑別する。

  • ガラクトース血症Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型
  • シトリン欠損症や胆道閉鎖症などの胆汁うっ滞性疾患
  • 門脈体循環シャント
  • Fanconi-Bickel症候群

治療

白内障の予防のため、乳糖ならびにガラクトースの摂取を制限する。

予後

比較的良好と考えられているが、長期予後は不明である。

成人期以降の注意点

成人期以降も乳糖ならびにガラクトースの摂取制限を継続し、白内障の発症に注意すべきである。

参考文献

  1. Wada Y, Kikuchi A, Arai-Ichinoi N, et al. Biallelic GALM pathogenic variants cause a novel type of galactosemia. Genet Med 2019;21(6):1286–94.
  2. Iwasawa S, Kikuchi A, Wada Y, et al. The prevalence of GALM mutations that cause galactosemia: A database of functionally evaluated variants. Mol Genet Metab 2019;126(4):362–7.
:バージョン1.0
更新日
:2022年11月1日
文責
:日本先天代謝異常学会