概要・定義
ミトコンドリアの3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA(HMG-CoA)合成酵素遺伝子の異常による常染色体劣性遺伝形式をとるケトン体代謝異常症である。
β酸化系で産生されたアセチル-CoA, アセトアセチル-CoAから3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAを合成する酵素の欠損症であり、常染色体劣性遺伝形式をとる.本酵素の活性測定は難しく,そのため診断確定例が少ない.現在最も有用なのは遺伝子診断と考えられる.診断を疑って検査しないと診断は不可能.多くの未診断例があると思われる.
ミトコンドリアの3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA(HMG-CoA)合成酵素遺伝子の異常による常染色体劣性遺伝形式をとるケトン体代謝異常症である。
β酸化系で産生されたアセチル-CoA, アセトアセチル-CoAから3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAを合成する酵素の欠損症であり、常染色体劣性遺伝形式をとる.本酵素の活性測定は難しく,そのため診断確定例が少ない.現在最も有用なのは遺伝子診断と考えられる.診断を疑って検査しないと診断は不可能.多くの未診断例があると思われる.
疫学
世界で15例程度の報告があるが、日本においては最近3名が診断されている。
病因
肝臓においてβ酸化系で産生されたアセチル-CoA, アセトアセチル-CoAからHMG-CoAを合成する酵素の欠損により,ケトン体の産生が障害され,空腹時など血糖を維持することができず,非ケトン性低血糖症を引き起こす.
症状
多くの症例が生後6か月から4歳頃に感染に伴う発熱、胃腸炎などに伴い、重篤な低血糖発作をきたす.症状は低血糖性昏睡、脳症、肝腫大などである.発作による後遺症がなければ発作間欠期には無症状である.
診断
重篤な非ケトン性低血糖症を来した症例で、インスリン過分泌が否定され、アシルカルニチン分析で脂肪酸代謝異常症が否定的な場合に疑う。
手引き参照
治療
低血糖発作を防ぐことが重要。食事間隔に注意し、発熱、飢餓時などの早期グルコース投与が重要である。
予後
1回の発作で死亡した例が海外で報告され、乳幼児突然死をとる可能性がある。多くの報告例では診断後は強い低血糖発作を起こしていない。年齢があがると発作を来しにくくなると考えられる。
成人期以降
成人期について報告がない。
参考文献
1. 深尾敏幸. ケトン体代謝異常症:特にアセトン血性嘔吐症と鑑別すべきサクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ欠損症を中心に. 日本小児科学会雑誌2007; 111:723-739
2. 深尾敏幸. 脂肪酸代謝異常症,ケトン体代謝異常症の最近の進歩.日本小児科学会雑誌2012;116:1801-1812
3. Fukao T, et al. Ketone body metabolism and its defects. J Inherited Metab Dis 2014;37:541-551
- 版
- :バージョン2.0
- 更新日
- :2015年5月25日
- 文責
- :日本先天代謝異常学会