1. 先天性代謝異常
  2. 大分類: アミノ酸代謝異常症
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N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症

えぬあせちるぐるたみんさんごうせいこうそけっそんしょう

N-acetylglutamate synthetase deficiency

告示

番号:3

疾病名:N―アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症

概要・定義

アンモニアは肝臓において尿素サイクルを経て、無害な尿素に代謝される。尿素サイクルの最初の反応を司る酵素がカルバミルリン酸合成酵素1 (CPS1)である。N-アセチルグルタミン酸(NAG)は、CPS1の活性化に働く。N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)欠損症では、NAGの合成低下をきたす常染色体劣性遺伝性疾患である。

疫学

極めてまれな疾患であり、わが国ではNAGS欠損症の報告はないものの、CPS1欠損症と診断された例に紛れ込んでいる可能性がある。

病因

NAGS遺伝子の機能喪失型変異に起因する。NAGの合成低下のため、二次的にCPS1の活性低下をきたす。

症状

生後数日以内に興奮性亢進、哺乳不良、多呼吸、けいれん、後弓反張、嗜眠・昏睡などをきたす新生児発症例が多い。

診断

治療

・急性期には高濃度のブドウ糖(10%以上)、血液浄化療法[持続血液濾過透析(CHDF)など] ・低蛋白食事療法 ・残余窒素排泄促進剤:フェニル酪酸ナトリウム(ブフェニールR)、安息香酸ナトリウム ・塩酸アルギニン(アルギUR) ・欧米ではN-カルバミルグルタミン酸が使用されている(わが国では未承認)。維持期にはN-カルバミルグルタミン酸単独療法が可能な例もある。

予後

欧米では早期のN-カルバミルグルタミン酸投与により生命予後・神経学的予後とも改善している。

成人期以降

成人期においても治療の継続が必要である。

参考文献

1) Ah Mew N, et al, N-acetylglutamate synthase deficiency: an insight into the genetics, epidemiology, pathophysiology, and treatment. Appl Clin Genet. 2011;4:127-135
:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会