概念・定義
ネフローゼ症候群は,糸球体毛細血管係蹄壁の障害により,高度蛋白尿,低蛋白血症と全身性の浮腫を生じる病態の総称であり,遺伝子異常に起因する先天性のものと後天的要因に発症するものがある。さらに,後天的要因によるものは原発性糸球体疾患によって発症する一次性ネフローゼ症候群と,何らかの基礎疾患に続発する二次性ネフローゼ症候群に分類される。
先天的要因によるものとして 1. 生後3か月以内に発症するフィンランド型先天性ネフローゼ症候群や、2. 生後3か月以降に発症するびまん性糸球体硬化症が知られるが、その他表1に示すような疾患が先天性ネフローゼ症候群の原因として知られている。
一次性ネフローゼ症候群の原因としては、3. 微小変化型ネフローゼ症候群、4. 巣状性分節性糸球体硬化症、5. 膜性腎症などの頻度が高いが,その他に表2に示す疾患が原因として挙げられる。二次性ネフローゼ症候群の原因としては,小児では紫斑病性腎炎,ループス腎炎また,感染症に伴う急性糸球体腎炎症候群として発症する場合が多い。成人では糖尿病性腎症やアミロイド腎症などの頻度が高い。
表1 先天性・乳児ネフローゼ症候群の分類
表2 ネフローゼ症候群の原疾患
参考文献
1) Jalanko H, Holmberg C. Congenital nephrotic syndrome.In Avner ED, et al. (Eds). Pediatric nephrology, 6thed, Philadelphia, Lippincott Williams & Wilkins, 601-619, 2009
2) 厚生労働省難治性疾患克服事業進行性腎障害に関する調査研究班,難治性ネフローゼ症候群分科会編.ネフローゼ症候群診療指針(完全版).東京医学社,2012
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児腎臓病学会