診断の手引き

  1. 皮膚疾患
  2. 大分類: 限局性強皮症
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限局性強皮症

げんきょくせいきょうひしょう

Localized scleroderma/morphea

告示

番号:2

疾病名:限局性強皮症

診断基準

病型分類

限局性強皮症は皮疹の形態学的特徴と分布および組織学的特徴から、以下の5つに分類される。

① Circumscribed morphea(斑状強皮症)
1~数個までの類円形から楕円形の境界明瞭な局面が躯幹ないし四肢に散在性に生じる。紅斑局面から硬化局面まで様々な様態を呈するが、初期の皮疹は中央が象牙様光沢を有し、辺縁にはライラック輪と呼ばれる炎症を反映した発赤を伴う。
② Linear scleroderma(線状強皮症)
四肢、顔面、頭部に境界が比較的不明瞭で陥凹した片側性の線状ないし帯状の色素の変化を伴う硬化局面として分布する。 頭頚部にみられる場合、Morphea en coup de sabre(剣創状強皮症)とよばれる。
③ Generalized morphea(汎発型限局性強皮症)
以下の2項目の両方を満たした場合、generalized morpheaと分類する。
  1. 直径 3cm 以上の皮疹が4つ以上ある(皮疹のタイプは斑状型でも線状型のどちらでもよい)
  2. 体を7つの領域(頭頸部、右上肢、左上肢、右下肢、左下肢、体幹前面、体幹後面)に分類したとき、皮疹が2つ以上の領域に分布している
④ Pansclerotic morphea
Generalized morfphea(汎発型限局性強皮症)のうち、高度にかつ進行性に病変が深部に及び、筋、腱、骨を侵すもの
⑤ Mixed morphea
Circumscribed morphea(斑状強皮症)、Linear scleroderma(線状強皮症)、Generalized morphea(汎発型限局性強皮症)、Pansclerotic morpheaのうち 2つ以上の病型が共存するもの

診断方法

以下の三項目をすべて満たす場合に限局性強皮症と診断する。

  1. 境界明瞭な皮膚硬化局面がある
  2. 病理組織学的に真皮の膠原線維の膨化・増生がある
  3. 以下の疾患を除外できる(ただし、合併している場合を除く)
    全身性強皮症、好酸球性筋膜炎、硬化性萎縮性苔癬、ケロイド、(肥厚性)瘢痕、硬化性脂肪織炎

参考文献

  1. 浅野善英・他:「限局性強皮症 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン」日皮会誌 126:2039-2067,2016.
  2. Laxer RM, Zulian F: Localized scleroderma. Curr Opin Rheumatol; 18: 606-613, 2006.

対象の基準(疾病の状態の程度)

次のいずれかに該当する場合
四肢又は頭部に変形があり継続的な治療を要する場合
運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下のうち一つ以上の症状が続く場合
:第1版
更新日
:2021年11月1日
文責
:日本小児皮膚科学会
日本小児リウマチ学会