診断の手引き

  1. 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
  2. 大分類: 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
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染色体又は遺伝子異常を伴い特徴的な形態的異常の組み合わせを呈する症候群(厚生労働省健康局長の定めるものに限る。)

告示

番号:22

疾病名:染色体又は遺伝子異常を伴い特徴的な形態的異常の組み合わせを呈する症候群(厚生労働省健康局長の定めるものに限る。)

診断基準

原因遺伝子(ASXL3 遺伝子等)に病的バリアントを認めればバインブリッジ・ロパース症候群と診断が確定する。病的バリアントを認めない場合もあり、下記の症状の組み合わせがあれば臨床診断される。

主要臨床症状の1~3を必須とし、4項目以上を満たす場合にバインブリッジ・ロパース症候群と臨床診断される。

A. 症状
主要臨床症状
  1. 目立つ前額、アーチ状の眉毛、反転した厚い下口唇を伴う大きな口などを含む特徴的な顔貌
  2. 重度精神運動発達遅滞
  3. 摂食障害
  4. 筋緊張低下
  5. 出生後の成長障害
  6. 骨格異常

参考文献

  1. Balasubramanian M, Schirwani S. ASXL3-Related Disorder. In: Adam MP, Ardinger HH, Pagon RA, et al., eds. GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; November 5, 2020.

対象の基準(疾病の状態の程度)

基準(ア)、基準(イ)、基準(ウ)又は基準(エ)を満たす場合
基準(ア)
症状として、けいれん発作、意識障害、体温調節異常、骨折又は脱臼のうち一つ以上続く場合であること。
基準(イ)
治療で強心薬、利尿薬、抗不整脈薬、抗血小板薬、抗凝固薬、末梢血管拡張薬又はβ遮断薬のうち一つ以上が投与されている場合であること。
基準(ウ)
治療で呼吸管理(人工呼吸器、気管切開術後、経鼻エアウェイ等の処置を必要とするものをいう。)、酸素療法又は胃管、胃瘻、中心静脈栄養等による栄養のうち一つ以上を行う場合であること。
基準(エ)
腫瘍を合併し、組織と部位が明確に診断されている場合であること。ただし、治療から5年を経過した場合は対象としないが、再発などが認められた場合は、再度対象とする。
:第1版
更新日
:2021年11月1日
文責
:日本小児遺伝学会