診断の手引き

  1. 慢性消化器疾患
  2. 大分類: 肝血行異常症
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門脈圧亢進症(バンチ(Banti)症候群を含む。)

もんみゃくあつこうしんしょう (ばんちしょうこうぐんをふくむ。)

portal hypertension (incl. Banti syndrome)

告示

番号:7

疾病名:門脈圧亢進症(バンチ症候群を含む。)

診断方法

A.既往歴・主要症状・所見

  1. 背景に慢性肝疾患や門脈血行異常症があることが多い。
  2. 吐下血をきたしやすい。
  3. 脾腫、腹壁皮静脈の怒張、腹部膨満などをみることが多い。
  4. 食道静脈瘤の治療歴がある。
  5. 肺病変を伴い低酸素血症をきたすことがあり、バチ状指をみることがある。

B.主要な検査所見

  1. 血液検査所見
  2. 血小板低下、汎血球減少、総胆汁酸高値、アンモニア高値、ビリルビンの異常値などをみることが多い。
  3. 画像検査所見
  4. 腹部造影CTなどで食道・胃に静脈瘤ないし側副血行を認めることが多い。 腹部超音波検査で鋸歯状または逆行する門脈血流や、肝円索の再開通をみることがある。
  5. 消化管内視鏡検査所見
  6. 食道・胃に静脈瘤を認めるか、hypertensive gastropathyの所見をみる。

C.除外要件

  1. 既存の小児慢性特定疾患は本症に含めない。
  2. B.2または3を重視しつつA.からC.を総合的に判断する。

  1. Banti症候群は本症に含める。
  2. 「肝中心静脈閉塞を伴う免疫不全症」は免疫疾患分野を参照されたい。
  3. 「バット・キアリ(Budd-Chiari)症候群」は特定疾患(公費対象)である。
  4. 既存の小児慢性特定疾患はその疾患で申請されたい。たとえば不明の肝硬変症に伴う門脈圧亢進症は「肝硬変症」で申請する。
  5. 肝門部に海綿状変性を認めれば本症であることが多い。

当該事業における対象基準

疾病による症状がある場合、治療を要する場合又は肝移植を行った場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児栄養消化器肝臓学会