診断の手引き

  1. 慢性消化器疾患
  2. 大分類: 肝硬変症
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肝硬変症

かんこうへんしょう

Liver Cirrhosis

告示

番号:9

疾病名:肝硬変症

診断方法

A. 主要症状・所見

  1. 成長障害、易疲労性、低栄養、全身倦怠感
  2. 肝腫大(おもに左葉)あるいは肝萎縮、脾腫、手掌紅斑、クモ状血管腫、腹壁皮静脈怒張、女性化乳房、羽ばたき振戦、黄疸、腹水、消化管出血、肝性脳症

B. 検査所見

項目 1~3 を組み合わせて診断を行う。さらに項目 4、5 が加われば診断精度が確かなものとなる。

1. 血液検査 ・・・ 以下のいずれかをみることが多い。

(1) 末梢血検査
血小板10万以下、汎血球減少
(2) 生化学検査
AST/ALT≧1、血清ビリルビン値上昇、コリンエステラーゼ低下、ZTT・γグロブリン高値(註3)、アルブミン3.5g/dL以下、血糖値の異常、アンモニア値の上昇、ICG15分停滞率≧30%(註4)
(3) 凝固機能検査
PT・HPTの低値
(4) 線維化マーカー
ヒアルロン酸 ≧ 200 ng/mL、AST to Platelet Ratio(APRI)(註5)が 2.0 以上

2. 画像検査(超音波、CT、MR)・・・ 以下のいずれかをみる。

肝辺縁の鈍化、肝左葉腫大、脾腫、側副血行路の存在、鋸歯状又は逆行する門脈血流、肝実質の不均一、肝表面の不整(註6)、超音波による肝弾性に関する非侵襲的マーカーの異常

3. 上部消化管内視鏡による食道・胃静脈瘤の検出、もしくは hypertensive gastropathy の検出。

4. 腹腔鏡もしくは開腹所見

肝辺縁の鈍化、肝左葉腫大、脾腫、側副血行路の存在、肝実質の不均一、肝表面の不整

5. 組織所見(腹腔鏡下または開腹して得られた検体は偽陰性が少ない)

小葉構築の改変、再生結節の存在、動脈の発達

C. 除外条件

1. 本症以外の小児慢性特定疾患を除外できること。


A、B、C をもとに総合的に診断する。重症度はChild-Pugh分類で判定する(註7)。


註1.
既存の分類に合致しない胆道閉鎖症類似疾患による肝硬変症、B 型肝炎ウイルスによる肝硬変症、cryptogenic cirrhosis などが本症の例である。
註2.
ミトコンドリア肝症は指定難病(ミトコンドリア病(公費対象))に記載があるので参照されたい。
註3.
ただしウイルス性肝炎では活動期に高値となる。
註4.
小児では実施困難、もしくは工夫を要する。
註5.
(AST測定値/施設の基準値)× 10 ÷(血小板数(万/mm3))
註6.
7.5 MHz以上の高周波探触子の使用が望ましい。
註7.
重症度分類を下記に示す

参考文献

  1. ヒアルロン酸:Hartley JL, et al. J Pediatr Gastroenterol Hepatol 43: 217-221, 2006
  2. APRI:Lebensztejn DM, et al. Hepatology 41: 1434-1435, 2005
  3. 7.5MHzの超音波探触子:Simonovsky V. Br J Radiol 72: 29-34, 1999
  4. Child-Pugh分類:Pugh RNH, et al. Br J Surg 60: 646, 1983

当該事業における対象基準

疾病による症状がある場合、治療を要する場合又は肝移植を行った場合

:バージョン2.0
承認日
文責
:日本小児栄養消化器肝臓学会