診断方法
- 血清トランスアミナーゼ値 および/または 血清γ-GTP値の年齢別基準値の1.5倍以上の上昇
- 他の疾患による肝障害が否定される
- 以下の疾患による2次性硬化性胆管炎の原因を除外する
- 後天性免疫不全症候群
- 胆管癌
- 総胆管結石(但し、進行した原発性硬化性胆管炎では合併することがある)
- 肝内への悪性腫瘍転移
- 好酸球性胆管炎
- IG4関連胆管炎
- Histiocytosis X
- 虚血性胆管炎
- 反復性膵炎
- 反復する化膿性胆管炎
- 手術による胆道損傷
- 抗癌剤の動脈注射療法
- 肝炎症性偽腫瘍
- 胆道造影検査で肝内外の胆管に多発する狭窄と拡張がみられる
- 肝組織検査で胆管周囲の層状線維化(onion-skin fobrosis)がみられる
(参考所見)
- 下部消化管内視鏡検査で潰瘍性大腸炎に矛盾しない所見がみられる(右側結腸型が多い)
- IgG高値、抗核抗体もしくは抗平滑筋抗体陽性
上記1~3を満たし、4および/または5を満たす。このうち、1~3および5のみ満たすものを、末梢胆管型原発性硬化性胆管炎(small duct primary sclerosingcholangitis)と診断する。
註
- 胆道造影による診断は内視鏡的逆行性胆管造影(Endoscopic retrograde cholangiography; ERC)を基本とする。但し、ERCが実施困難な場合にはその他の方法で代用しても構わない。
- 小児では肝外胆管に病変が見られず、肝内胆管の病変のみのことも多い。
- 自己免疫性肝炎との鑑別が小児では難しい場合がある。
- 自己免疫性肝炎に原発性硬化性胆管炎が合併する症例もみられる。
- 下痢や血便を伴わなくても、下部消化管内視鏡観察により、潰瘍性大腸炎もしくは非特異性大腸炎と診断される症例がある。
当該事業における対象基準
疾病による症状がある場合、治療を要する場合又は肝移植を行った場合
- 版
- :バージョン1.1
- 更新日
- :2015年8月26日
- 文責
- :日本小児栄養消化器肝臓学会