診断方法
診断基準
臨床診断のAまたはB、ないし遺伝子診断のCを満たした場合、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)と診断する。
【臨床的診断】
- 大腸に100個以上の多発性腺腫を有する。家族歴の有無は問わない。
- 大腸に100個に達しない多発性腺腫性ポリープが存在し、FAPの家族歴を有する。 (大腸外随伴病変は補助診断として参考になる)。
【遺伝子診断】
- APC遺伝子の胚細胞変異を有する。
参考条項
- FAPは、APC遺伝子の胚細胞変異を原因とし、大腸の多発性腺腫を主徴とする常染色体優性遺伝性の症候群である。大腸癌の発生は10歳代のこともあり、40歳でほぼ50%、放置すれば60歳ごろにはほぼ100%に達する。
- 大腸外の随伴病変として、先天性網膜色素上皮肥大、胃底腺ポリポーシス、胃腺腫、十二指腸ポリポーシス、十二指腸乳頭部腺腫、空・回腸腺腫、デスモイド腫瘍、頭蓋骨種、顎潜在骨腫、歯牙異常(過剰歯、埋没歯)、類上皮腫、甲状腺癌、子宮癌、肝芽腫、副腎腫瘍、脳腫瘍などの報告がある。非腫瘍性の網膜色素上皮腫大はFAPの77-90%に認め、大腸腺腫よりも早期に出現し補助診断として参考になる。
- 大腸腺腫性ポリポーシスに軟部腫瘍、骨腫、歯牙異常、デスモイド腫瘍を伴うGardner症候群はAPC遺伝子の異常が原因であることから、FAPと同一疾患として取り扱う。
- APC遺伝子変異を有する大腸線腫性ポリポーシスに脳腫瘍(主に小脳の髄芽腫)を伴うTurcot症候群(type2)もFAPとして取り扱う。
- FAPの20~30%程度はAPC遺伝子変異がみられない。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児栄養消化器肝臓学会