診断方法
A.既往歴および主要症状
- 背景因子として心疾患(ことにFontan手術)・悪性腫瘍・感染症・リンパ管の先天的形成異常などが挙げられる。
- 下痢、嘔吐、末梢の浮腫、腹満(腹水貯留)を認めることがある。
B.検査所見
- 血液検査所見:低タンパク血症、凝固因子の低値、リンパ球減少などを認める。
- 内視鏡検査:小腸に散在する白斑がみられることが多い。リンパの滴下をみることがある。病理組織学的には腸絨毛の先端にリンパ管拡張を認める。
- 便中α1アンチトリプシンクリアランスの亢進は腸管内への蛋白漏出を証明するよい指標となるため測定が望ましい。
- ※
- A.に該当し、さらにB.の1および2に該当する場合を本症とする。
- (補足)
- 腸リンパ管拡張症は、背景因子のために腸管壁内のリンパ管内圧が亢進し、リンパ管の拡張や破綻をきたす。臨床的には蛋白漏出性胃腸症を呈する。リンパ管拡張以外の慢性炎症性腸疾患などによる蛋白漏出を臨床的に除外する。リンパ管シンチグラフィーは感度・特異度ともに劣るため、参考にとどめた方が良い。
当該事業における対象基準
疾病による症状がある場合、治療を要する場合又は小腸移植を行った場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児栄養消化器肝臓学会