診断の手引き

  1. 神経・筋疾患
  2. 大分類: 亜急性硬化性全脳炎
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亜急性硬化性全脳炎

あきゅうせいこうかせいぜんのうえん

subacute sclerosing panencephalitis; SSPE

告示

番号:1

疾病名:亜急性硬化性全脳炎

診断方法

1 診断基準

  1. 性格変化、知的退行、ミオクローヌス、痙攣発作、失立発作の出現
  2. 進行性経過
  3. 血清麻疹抗体価の上昇
  4. 髄液中に麻疹抗体を検出
  5. 髄液 IgG-index の上昇
  6. 脳波に周期性群発を認める

上記(1)~(6)項目について、(1)、(2)を満たし、(3)、(4)、(5)、(6)のうち 1 項目を満たせば SSPE の疑いがあり、2 項目を満たせばほぼ確実であり、3 項目を満たせば診断は確実である。ただし(6)項は、初期には周期が長いために、脳波判読に際して周期性が分かり難い。

2 検査所見

  1. 血清麻疹抗体価の上昇(赤血球凝集抑制反応だけでなく補体結合反応によっても上昇がみられること)
  2. 髄液麻疹抗体の検出(赤血球凝集抑制反応だけでなく補体結合反応でも)
  3. 髄液 IgG-index(=[髄液 IgG 濃度÷血清 IgG 濃度]÷[髄液アルブミン濃度÷血清アルブミン濃度])の上昇
  4. 脳波の周期性群発(periodic burst):数秒から十数秒の周期で出現する高振幅徐波群発で、Ⅱ期まで、病期の進行につれて周期が短縮
  5. X 線 CT、MRI で大脳白質の X 線低吸収域や MRI-T2 高信号域(Ⅱ期以後)、大脳皮質の萎縮(Ⅲ期以後)などの描出
  6. 大脳白質変性症、特に副腎白質ジストロフィー
  7. その他の亜急性及び慢性脳炎

3 病期分類

病期分類表

3 病期分類

4 合併症

病期の進行とともに,重症心身障害に一般的にみられる合併症が加わる。

  1. 筋緊張亢進、関節拘縮
  2. 睡眠時閉塞性無呼吸及び分泌物過多による呼吸障害
  3. 胃食道逆流現象(嘔吐、吐血)

当該事業における対象基準

運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児神経学会