診断の手引き

  1. 神経・筋疾患
  2. 大分類: 先天性感染症
91

先天性トキソプラズマ感染症

せんてんせいときそぷらずまかんせんしょう

Congenital toxoplasmosis

告示

番号:42

疾病名:先天性トキソプラズマ感染症

診断基準

A.症状

  • 妊娠中の母体がトキソプラズマに初感染していることが前提(以下の検査値を参考)
    1. トキソプラズマIgM抗体の陽性化
    2. トキソプラズマIgG抗体の陽転化
    3. トキソプラズマIgG高値かつIgGアビデイティ低値
  • 児の異常
    1. 低出生体重児
    2. けいれんなどの神経症状
    3. 水頭症や小脳症
    4. 脳石灰化
    5. 視力異常(網脈絡膜炎)や小眼球
    6. 聴力異常
    7. 心奇形・心筋炎
    8. 精神運動発達遅滞

B.検査所見

  1. 血液・生化学的検査所見
    • 末梢血トキソプラズマIgM, IgG抗体の上昇
    • あるいは血液または髄液PCR陽性
  2. 画像検査所見
    頭部超音波、CTあるいはMRIによる脳石灰化や脳室拡大、水頭症

C.遺伝学的検査等

なし

D.鑑別診断

TORCH症候群(とくに梅毒、風疹)

E-1.確実例

妊娠母体のトキソプラズマ初感染が明らかで、Aのうち1項目以上+Bのうち2項目以上を満たしDの鑑別すべき疾患を除外したもの

E-2.疑い例

妊娠母体のトキソプラズマ初感染が明らかで、Aのうち1項目以上+Bのうち1項目以上を満たしDの鑑別すべき疾患を除外したもの

当該事業における対象基準

状態の程度

運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、 皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、 骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合

:バージョン1.0
更新日
:2017年3月17日
文責
:日本新生児成育医学会