診断の手引き

  1. 神経・筋疾患
  2. 大分類: もやもや病
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もやもや病

もやもやびょう

moyamoya disease

告示

番号:98

疾病名:もやもや病

診断方法

A. 脳血管撮影による診断基準

1)
頭蓋内内頸動脈終末部、前及び中大脳動脈近位部に狭窄又は閉塞がみられる。
2)
その付近に異常血管網が動脈相においてみられる。
3)
これらの所見が両側性にある。

B. MRIとMRAによる診断基準

1. 撮像条件

1)
磁場強度は 1.0tesla 以上の機種を用いることが望ましい。
2)
MRA 撮像法は特に規定しない。
3)
磁場強度・撮像法・造影剤の使用の有無などの情報を医療意見書に記入する。
4)
MRI 上、両側大脳基底核部に少なくとも一側で 2 つ以上の明らかな flow voidを認める場合、異常血管網と判定してよい。
5)
撮像条件により病変の過大・過小評価が起こり疑陽性病変が得られる可能性があるので、確診例のみを提出すること。
6)
MRI・MRA のみで診断した場合は、キーフィルムを審査のため提出すること。

2. 診断基準は次のすべての項目を満たす

1)
頭蓋内内頸動脈終末部,前及び中大脳動脈近位部に狭窄又は閉塞がみられる。
2)
大脳基底核部に異常血管網がみられる。
3)
1) と 2) の所見が両側性にある。

C. もやもや病は原因不明の疾患であり、下記の特別な基礎疾患に伴う類似の脳血管病変は除外する。

1)
動脈硬化
2)
自己免疫疾患
3)
髄膜炎
4)
脳腫瘍
5)
ダウン症候群
6)
レックリングハウゼン病(神経線維腫症I型)
7)
頭部外傷
8)
頭部放射線照射
9)
その他

D. 診断の参考となる病理学的所見

1)
内頸動脈終末部を中心とする動脈の内膜肥厚と、それによる内腔狭窄ないし閉塞が通常両側性に認められる。ときに肥厚内膜内に脂質沈着を伴うこともある。
2)
前・中大脳動脈、後大脳動脈などウィリス動脈輪を構成する諸動脈に、しばしば内膜の線維性肥厚、内弾性板の屈曲、中膜の菲薄化を伴う種々の程度の狭窄ないし閉塞が認められる。
3)
ウィリス動脈輪を中心として多数の小血管(穿通枝及び吻合枝)がみられる。
4)
しばしば軟膜内に小血管の網状集合がみられる。

[診断の判定]
A. ~ D. に述べられている事項を参考として、下記のごとく分類する。なお脳血管撮影を行わず剖検を行ったものについては、D. を参考として別途に検討する。

○確実例

A. あるいは B. のすべての条件及び C. を満たすもの。
小児では、一側に A. の 1)、2) あるいは B. の 2.診断基準 の1)、2) を満たし、他側の内頸動脈終末部付近にも狭窄の所見が明らかにあるものを含む。

当該事業における対象基準

運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合

:バージョン1.1
更新日
:2015年6月30日
文責
:日本小児神経学会、日本小児神経外科学会