診断の手引き

  1. 神経・筋疾患
  2. 大分類: 神経皮膚症候群
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スタージ・ウェーバー(Sturge-Weber)症候群

すたーじ・うぇーばーしょうこうぐん

Sturge-Weber syndrome

告示

番号:27

疾病名:スタージ・ウェーバー症候群

状態の程度

運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合

診断基準

A 症状

a 基本所見
以下の3所見が重要であるが、必ずしも全てが揃う必要はない。
1 頭蓋内軟膜血管腫
画像検査でのみ検出が可能。血管腫部位には石灰化や萎縮を伴う事がある。
2 顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)
三叉神経1枝および2枝領域に認めることが多い。必ずしも一側ではなく、またポートワイン斑を有さない例も15%程存在する。
3 脈絡膜血管腫または緑内障
眼圧上昇より視力・視野障害、頭痛が生じる。患児の訴えは乏しいことが多く、頭蓋内軟膜血管腫および顔面ポートワイン斑を認めた者では検査で確認をする必要がある。

b 症状
1 てんかん
2 精神運動発達遅滞
3 運動麻痺
4 視力・視野障害
5 片頭痛


B 検査所見

1 画像検査所見
 頭蓋内病変を有するものは以下の所見を確認する。
MRI:ガドリニウム増強において明瞭となる頭蓋内軟膜血管腫、
   罹患部位の脳萎縮、患側脈絡叢の腫大、白質内横断静脈の 
    拡張。
CT:頭蓋内石灰化
SPECT:頭蓋内軟膜血管腫部位の低血流域
FDG-PET:頭蓋内軟膜血管腫部位の糖低代謝

2 生理学的所見
 頭蓋内病変を有するものは以下の所見を確認する。
脳波:患側の低電位徐波、発作時の律動性棘波または鋭波

3. 視機能検査
 眼圧検査:眼圧上昇
 視力及び視野検査:視力低下および視野欠損
 眼底検査:脈絡膜血管腫


C 遺伝学的検査等

GNAQ遺伝子変異:頭蓋内軟膜血管腫斑と顔面ポートワイン組織においてGNAQ遺伝子変異が認められる。本遺伝子変異の検出は保険適応外であり、本邦においては限られた施設でのみ施行可能である。


D 鑑別診断

顔面単純性血管腫
他の神経皮膚症候群


E-1 確実例

以下の症状の組み合わせによる診断を行う。
A.基本所見、すなわち頭蓋内軟膜血管腫、顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)、脈絡膜血管腫または緑内障の1つを満たし、かつB.症状の2項目以上を有する者を確実例とする。


E-2 疑い例

A.基本所見を有するが、てんかん、精神運動発達遅滞、運動麻痺、視力・視野障害、および片頭痛などの特徴的な症状を呈さない者、または診断時には症状を呈してはいないが、今後症状が発現してくる可能性がある者

参考文献

  • 1) Pinto A, et al.: Epileptogenesis in neurocutaneous disorders with focus in Sturge Weber syndrome. F1000Res 2016: doi: 10.12688/f1000research.7605.1
  • 2) Shirley MD, et al.: Sturge-Weber syndrome and port-wine stains caused by somatic mutation in GNAQ. N Engl J Med. 2013 23; 368(21): 1971-9
  • 3) Griffiths PD, et al.: Contrast-enhanced fluid-attenuated inversion recovery imaging for leptomeningeal disease in children. AJNR Am J Neuroradiol. 2003; 24: 719-23.
  • 4) Warren Lo, et al: Update and future horizons on the understanding, diagnosis, and treatment of Sturge-Weber syndrome brain involvement. Dev Med Child Neurol. 2012:214-23.
  • 5) 菅野秀宣 他:Sturge-Weber症候群:No Shinkei Geka 2010, 38: 613-620
:バージョン1.0
承認日
文責
:日本小児神経学会