診断の手引き

  1. 免疫疾患
  2. 大分類: 後天性免疫不全症
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後天性免疫不全症候群(HIV感染によるものに限る。)

こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん (えいちあいぶいかんせんによるものにかぎる。)

acquired immune deficiency syndrome (AIDS) due to HIV infection

告示

番号:19

疾病名:後天性免疫不全症候群(HIV感染によるものに限る。)

診断方法

Ⅰ HIV感染症の診断

  1. HIVの抗体スクリーニング検査法(酵素抗体法(ELISA)、粒子凝集法(PA)、免疫クロマトグラフィー法(IC)等)の結果が陽性であって、以下のいずれかが陽性の場合にHIV感染症と診断する。
    1. 抗体確認検査(Western Blot法、蛍光抗体法(IFA)等)
    2. HIV抗原検査、ウイルス分離及び核酸診断法(PCR等)等の病原体に関する検査(以下、「HIV病原検査」という)
  2. ただし、周産期に母親がHIVに感染していたと考えられる生後18か月未満の児の場合は少なくともHIVの抗体スクリーニング法が陽性であり、以下のいずれかを満たす場合にHIV感染症と診断する。
    1. HIV病原検査が陽性
    2. 血清免疫グロブリンの高値に加え、リンパ球数の減少、CD4陽性Tリンパ球数の減少、CD4陽性Tリンパ球数/CD8陽性Tリンパ球数比の減少という免疫学的検査所見のいずれかを有する

II AIDSの診断

I の基準を満たし、IIIの指標疾患(Indicator Disease)の1つ以上が明らかに認められる場合にAIDSと診断する。

III 指標疾患(Indicator Disease)

  1. 真菌症
    1. カンジダ症(食道、気管、気管支、肺)
    2. クリプトコッカス症(肺以外)
    3. コクシジオイデス症
      1. 全身に播種したもの
      2. 肺、頸部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
    4. ヒストプラズマ症
      1. 全身に播種したもの
      2. 肺、頸部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
    5. ニューモシスティス肺炎
  2. 原虫症
    1. トキソプラズマ脳症(生後1か月以後)
    2. クリプトスポリジウム症(1か月以上続く下痢を伴ったもの)
    3. イソスポラ症(1か月以上続く下痢を伴ったもの)
  3. 細菌感染症
    1. 化膿性細菌感染症(13歳未満で、ヘモフィルス、連鎖球菌等の化膿性細菌により以下のいずれかが2年以内に、二つ以上多発あるいは繰り返して起こったもの)
      1. 敗血症
      2. 肺炎
      3. 髄膜炎
      4. 骨関節炎
      5. 中耳・皮膚粘膜以外の部位や深在臓器の膿瘍
    2. サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く)
    3. 活動性結核(肺結核又は肺外結核)
    4. 非結核性抗酸菌症
      1. 全身に播種したもの
      2. 肺、皮膚、頸部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
  4. ウイルス感染症
    1. サイトメガロウイルス感染症(生後1か月以後で、肝、脾、リンパ節以外)
    2. 単純ヘルペスウイルス感染症
      1. 1か月以上持続する粘膜、皮膚の潰瘍を呈するもの
      2. 生後1か月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を併発するもの
    3. 進行性多巣性白質脳症
  5. 腫瘍
    1. カポジ肉腫
    2. 原発性脳リンパ腫
    3. 非ホジキンリンパ腫
    4. LSG分類により
      1. 大細胞型
      2. 免疫芽球型
      3. Burkitt型
    5. 浸潤性子宮頸癌
  6. その他
    1. 反復性肺炎
    2. リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PLH complex(13歳未満)
    3. HIV脳症(認知症又は亜急性脳炎)
    4. HIV消耗性症候群(全身衰弱又はスリム病)

C11活動性結核のうち肺結核及びE19浸潤性子宮頸癌については、HIVによる免疫不全を示唆する症状又は所見がみられる場合に限る。
各指標疾患の診断法は「厚生労働省エイズ動向委員会によるAIDS診断のための指標疾患の診断法」の記載による。この文書冒頭には「ここには基本的な診断方法を示すが、医師の判断により、より最新の診断法によって診断する場合もあり得る」と記載されている

当該事業における対象基準

疾患名に該当する場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本免疫不全症研究会