診断方法
Ⅰ HIV感染症の診断
- HIVの抗体スクリーニング検査法(酵素抗体法(ELISA)、粒子凝集法(PA)、免疫クロマトグラフィー法(IC)等)の結果が陽性であって、以下のいずれかが陽性の場合にHIV感染症と診断する。
- 抗体確認検査(Western Blot法、蛍光抗体法(IFA)等)
- HIV抗原検査、ウイルス分離及び核酸診断法(PCR等)等の病原体に関する検査(以下、「HIV病原検査」という)
- ただし、周産期に母親がHIVに感染していたと考えられる生後18か月未満の児の場合は少なくともHIVの抗体スクリーニング法が陽性であり、以下のいずれかを満たす場合にHIV感染症と診断する。
- HIV病原検査が陽性
- 血清免疫グロブリンの高値に加え、リンパ球数の減少、CD4陽性Tリンパ球数の減少、CD4陽性Tリンパ球数/CD8陽性Tリンパ球数比の減少という免疫学的検査所見のいずれかを有する
II AIDSの診断
I の基準を満たし、IIIの指標疾患(Indicator Disease)の1つ以上が明らかに認められる場合にAIDSと診断する。
III 指標疾患(Indicator Disease)
- 真菌症
- カンジダ症(食道、気管、気管支、肺)
- クリプトコッカス症(肺以外)
- コクシジオイデス症
- 全身に播種したもの
- 肺、頸部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
- ヒストプラズマ症
- 全身に播種したもの
- 肺、頸部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
- ニューモシスティス肺炎
- 原虫症
- トキソプラズマ脳症(生後1か月以後)
- クリプトスポリジウム症(1か月以上続く下痢を伴ったもの)
- イソスポラ症(1か月以上続く下痢を伴ったもの)
- 細菌感染症
- 化膿性細菌感染症(13歳未満で、ヘモフィルス、連鎖球菌等の化膿性細菌により以下のいずれかが2年以内に、二つ以上多発あるいは繰り返して起こったもの)
- 敗血症
- 肺炎
- 髄膜炎
- 骨関節炎
- 中耳・皮膚粘膜以外の部位や深在臓器の膿瘍
- サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く)
- 活動性結核(肺結核又は肺外結核)
- 非結核性抗酸菌症
- 全身に播種したもの
- 肺、皮膚、頸部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
- ウイルス感染症
- サイトメガロウイルス感染症(生後1か月以後で、肝、脾、リンパ節以外)
- 単純ヘルペスウイルス感染症
- 1か月以上持続する粘膜、皮膚の潰瘍を呈するもの
- 生後1か月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を併発するもの
- 進行性多巣性白質脳症
- 腫瘍
- カポジ肉腫
- 原発性脳リンパ腫
- 非ホジキンリンパ腫 LSG分類により
- 大細胞型
- 免疫芽球型
- Burkitt型
- 浸潤性子宮頸癌
- その他
- 反復性肺炎
- リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PLH complex(13歳未満)
- HIV脳症(認知症又は亜急性脳炎)
- HIV消耗性症候群(全身衰弱又はスリム病)
C11活動性結核のうち肺結核及びE19浸潤性子宮頸癌については、HIVによる免疫不全を示唆する症状又は所見がみられる場合に限る。
各指標疾患の診断法は「厚生労働省エイズ動向委員会によるAIDS診断のための指標疾患の診断法」の記載による。この文書冒頭には「ここには基本的な診断方法を示すが、医師の判断により、より最新の診断法によって診断する場合もあり得る」と記載されている
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本免疫不全症研究会