診断方法
特発性好酸球増加症
A. 症状
末梢血液中の好酸球が増加し、全身の結合組織を侵す病気である。発熱、発疹、胸水、腹水、全身倦怠感、心不全、リンパ節の腫れなどの全身症状を起こす。
- 心臓障害(心内膜炎、心筋障害、心不全)
- 呼吸器障害(胸膜炎)、 肺浸潤
- 関節病変(3か所以上の関節炎が6週間以上持続)
- 皮膚症状(皮膚潰瘍、指尖出血血栓)
- 中枢神経障害
- 消化器障害(腹痛、下痢、下血)
- 腎障害(血尿、蛋白尿1.0g/gCre以上、血清クレアチニン高値)
B. 検査所見
- 末梢血中好酸球数1500個/μL以上が6カ月以上持続していること
- 上記 A. の2カ所以上の臓器病変が存在する、又は病理組織所見で好酸球浸潤による1か所以上の臓器障害が認められる
C. 鑑別疾患
以下の疾患を鑑別除外する。
- アレルギー性疾患:気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、薬物アレルギー、急性アレルギー性じんま疹
- 感染症:寄生虫、原虫、細菌、真菌、クラミジア
- 皮膚疾患:湿疹、天疱瘡、類天疱瘡、好酸球増加性回帰性血管浮腫、乾癬、Sezary症候群?
- 膠原病等:結節性動脈周囲炎、Wegener肉芽腫症、好酸球性筋膜炎、アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群)
- 悪性腫瘍:Hodgkin病、悪性リンパ腫
- 血液疾患:急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、好酸球性白血病、木村病
好酸球性消化管疾患
診断基準
EoEとEGEの診断の基準を表1、 2に示した。 EoEでは食道粘膜に縦走溝、輪状狭窄、白斑など特異的内視鏡所見がしばしば認められる。 食道以外では生理的好酸球が存在し注意を要する。 また上皮内、胃腺や陰窩、筋層への好酸球浸潤、好酸球性膿瘍、シャルコーライデン結晶などが参考所見として有用である。 末梢血好酸球増多はEoEでは認めない症例も多い。 EoEでは食道粘膜でのeotaxin-3のmRNA発現は感度の高い所見である(保険適応外)。
表1. EoEの診断

表2. EGEの診断

鑑別診断
EoEの鑑別疾患
胃食道逆流症、カンジダ感染、薬剤アレルギー等が挙げられる。
EGEの鑑別疾患
過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、コラーゲン形成大腸炎、薬剤性腸炎、特発性好酸球増多症候群、セリアック病、リンパ腫、強皮症、Churg-Strauss syndrome、Henoch-Schönlein紫斑病等が挙げられる。
当該事業における対象基準
治療で補充療法、G-CSF療法、除鉄剤の投与、抗凝固療法、ステロイド薬の投与、免疫抑制薬の投与、抗腫瘍薬の投与、再発予防法、感染症予防療法、造血幹細胞移植、腹膜透析又は血液透析のうち、一つ以上を継続的に実施する(断続的な場合も含めておおむね6か月以上)場合は対象となる
- 版
- :バージョン2.0
- 更新日
- :2015年6月25日
- 文責
- :日本免疫不全症研究会