診断方法
A. 症状
- ①
- 慢性溶血性貧血の一般症状: 貧血、黄疸、脾腫、胆石症。
- ②
- 溶血以外の他臓器症状: 精神症状、神経筋症状、アシドーシスなど。※1)
B. 検査所見
- ①
- 溶血性貧血: Hb低下、網状赤血球増多、間接ビリルビン増加、LDH増加、ハプトグロビン低下、ヘモグロビン尿。
- ②
- MCV正常?高値
- ③
- 赤血球形態: 一般に赤血球形態異常は認めない。例外的に、ピリミジン5'-ヌクレオチダーゼ異常症のみ好塩基性(塩基親和性)斑点 basophilic stipplingがみられる。
- ④
- 直接抗グロブリン試験陰性
- ⑤
- 浸透圧脆弱性試験陰性
- ⑥
- イソプロパノール試験陰性
- ⑦
- 赤血球酵素活性低下
- ⑧
- 遺伝子変異の同定
A①やB①~⑥より非球状溶血性貧血であることを確認し、⑦赤血球酵素活性の低下をもって確定診断とする。溶血以外の他臓器症状を伴う場合は、原因である酵素異常の推測に有用である。
参考条項
※1) 溶血以外の他臓器症状
ホスホフルクトキナーゼ異常症: 筋症状 (運動持続能の低下等)、血清CK上昇、高尿酸血症、ミオグロビン尿を伴うことがある。
ホスホグリセリン酸キナーゼ異常症: 精神神経症状や筋症状を伴う。三炭糖リン酸イソメラーゼ異常症: 赤血球酵素異常症では最も重篤で、思春期までに死亡する例が多い。
ミオパチー、ジスキネジア、知能障害等を認める。グルタチオン合成酵素異常症: 約25%が感染症や電解質異常で新生児期までに死亡する。代謝性アシドーシス、知能障害・麻痺・けいれん等の中枢神経障害を来し進行する。グルタミルシステイン合成酵素異常症: ニューロパチーやミオパチー等の神経症状を伴う。
アデニル酸キナーゼ異常症: 精神運動発達遅滞を伴う。
当該事業における対象基準
治療で補充療法を(断続的な場合も含めておおむね6か月以上)継続的に実施する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会