診断方法
- 臨床所見として、貧血、黄疸のほか肉眼的ヘモグロビン尿(淡赤色尿~暗褐色尿)を認めることが多い。ときに静脈血栓、出血傾向、易感染性を認める。先天発症はないが、青壮年を中心に広い年齢層で発症する。
- 以下の検査所見がしばしばみられる。
- 貧血および白血球、血小板の減少
- 血清間接ビリルビン値上昇、LDH 値上昇、ハプトグロビン値低下
- 尿ヘモグロビン陽性、尿沈渣のヘモジデリン陽性
- 好中球アルカリホスファターゼスコア低下、 赤血球アセチルコリンエステラーゼ低下
- 骨髄赤芽球増加(骨髄は過形成が多いが低形成もある)
- Ham(酸性化血清溶血)試験陽性または砂糖水試験陽性
- 直接クームス試験が陰性
- 上記臨床所見、検査所見より PNH を疑い、以下の検査所見により診断を確定する。
- GPIアンカー型タンパク質の欠損血球(PNH タイプ赤血球)の検出と定量
- 骨髄穿刺、骨髄生検、染色体検査等によって下記病型分類を行うが、必ずしもいずれかに分類する必要はない。
- 古典的 PNH
- 骨髄不全型 PNH
- 混合型 PNH
- 参 考
- 確定診断のための溶血所見としては、血清 LDH 値上昇、網赤血球増加、間接ビリルビン値上昇、血清ハプトグロビン値低下が参考になる。PNH タイプ赤血球(II 型+III 型)が 1%以上で、血清 LDH 値が正常上限の 1.5 倍以上であれば、臨床的 PNH と診断してよい。
- 国際分類では、GPI アンカー型タンパク質の欠損赤血球が検出されれば PNH とされるが、溶血所見が明らかでない微少 PNH タイプ血球陽性の骨髄不全症(subliclinical PNH: PNHsc)は、臨床的 PNH とは区別する。
- PNHsc は PNH ではないが、経過観察中に PNH に移行することがある。このため、骨髄不全患者をみた場合には、高リスク MDS 例を除くすべての例に対して高感度フローサイトメトリーを行い、PNH タイプ血球の有無を調べる必要がある。
- 直接クームス試験は、エクリズマブまたはラブリズマブ投与中の患者や自己免疫性溶血性貧血を合併した PNH 患者では陽性となることがある。
- 混合型 PNH とは、古典的 PNH と骨髄不全型 PNH の両者の特徴を兼ね備えたり、いずれの特徴も不十分で、いずれかの分類に苦慮したりする場合に便宜的に用いる。
参考文献
- 発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド 令和1年改訂版 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ
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http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2020/06v2.pdf
当該事業における対象基準
治療で補充療法、G-CSF療法、除鉄剤の投与、抗凝固療法、ステロイド薬の投与、免疫抑制薬の投与、抗腫瘍薬の投与、再発予防法、造血幹細胞移植、腹膜透析又は血液透析のうち、一つ以上を継続的に実施する(断続的な場合も含めておおむね6か月以上)場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会