診断方法
疾患概念
骨髄における環状鉄芽球の出現を特徴とする貧血である。診断基準
環状鉄芽球が骨髄総赤芽球の 15%を超える(FAB 分類) 血清フェリチンの増加、不飽和鉄結合能減少を認める。 上記に加えて遺伝子変異が確認できたものが、遺伝性鉄芽球性貧血の確定診断となる。 家族歴は遺伝性鉄芽球性貧血を強く疑う所見である。 遺伝性で最も頻度の高い XLSA は小球性低色素性の貧血で男児発症を特徴とする。 *環状鉄芽球の定義:核周囲 1/3 以上にわたって 5 個以上の鉄顆粒が存在(新 WHO 分類)
【遺伝性鉄芽球性貧血の診断基準】
- 臨床症状として、貧血、鉄過剰に伴う症状(膵外分泌障害、肝障害、心機能障害)を主とするが、小児期発症例では神経筋症状を認めうる。
- 以下の検査所見をすべて満たす
- 貧血(男性Hb<13g/dL、女性Hb<12g/dL)
- 骨髄にて環状鉄芽球の出現(15%以上)
- 血清鉄の上昇
- 不飽和鉄結合能(UIBC)の低下
- 血清フェリチンの上昇
- 鑑別診断として以下の疾患が除外できる
- 骨髄異形成症候群
- 二次性鉄芽球性貧血(薬剤性、アルコール性、鉛中毒、銅欠乏)
- その他の先天性疾患
- 以下のいずれかの遺伝子の機能喪失型変異を認める ALAS2, SLC25A38, PUS1, ABCB7, SLC119A2, ミトコンドリアDNA, YARS2, TRNT1
Define
Aによって本性を疑い、BかつDを満たした場合Probable
小児期に発症し、BかつCを満たし、家族歴を有する場合参考文献
- 遺伝性鉄芽球性貧血の参照ガイド 令和1年改訂版 遺伝性鉄芽球性貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ
当該事業における対象基準
治療で継続的に補充療法若しくは除鉄剤の投与を行っている場合又は造血幹細胞移植を実施する場合。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会