診断の手引き

  1. 血液疾患
  2. 大分類: 赤芽球癆
2

後天性赤芽球癆

こうてんせいせきがきゅうろう

acquired pure red cell aplasia

告示

番号:26

疾病名:後天性赤芽球癆

診断方法

(1)
臨床所見として、貧血とその症状を認める。易感染性や出血傾向を認めない。すべての年齢に発症する。
(2)
以下の検査所見を認める。
  1. 貧血
  2. 網赤血球の著減
  3. 骨髄赤芽球の著減
(3)
基礎疾患による場合を除き、以下の検査所見は原則として正常である。
  1. 白血球数
  2. 血小板数
(4)
(1)~(3)によって赤芽球癆と診断し、以下の病歴と検査所見によって病因診断を行う。
  1. 病歴
  2. 薬剤服用歴
  3. 感染症の先行
  4. 血清エリスロポエチン濃度を含む血液生化学検査
  5. 自己抗体を含む免疫学検査
  6. 骨髄穿刺、骨髄生検、染色体検査などによるほかの造血器疾患の判定
  7. リンパ球サブセット解析
  8. T細胞抗原受容体(TCR)遺伝子の再構成
  9. ヒトパルボウイルスB19を含むウイルス学検査
  10. 画像検査による胸腺腫、悪性腫瘍の検索
(5)
以下によって経過および病因による病型分類を行う。
急性一過性 :
経過観察、原因薬剤中止などの待機的治療で推定発症、または診断から1か月以内に貧血の改善がみられ、3か月までに回復する。
慢 性:
上記以外。
特発性:
基礎疾患を認めない。
続発性:
先行または随伴する基礎疾患を認める。

参考文献

  1. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 「特発性造血障害に関する調査」研究班. 「赤芽球癆 診療の参照ガイド 令和元年度改訂版」

当該事業における対象基準

治療で補充療法、G-CSF療法、除鉄剤の投与、抗凝固療法、ステロイド薬の投与、免疫抑制薬の投与、抗腫瘍薬の投与、再発予防法、造血幹細胞移植、腹膜透析又は血液透析のうち、一つ以上を継続的に実施する(断続的な場合も含めておおむね6か月以上)場合。
:バージョン1.1
更新日
:2021年2月17日
文責
:日本小児血液・がん学会