巨赤芽球性貧血

I. 主症状

貧血、味覚異常（Hunter舌炎）、舌疼痛、食欲不振、下痢などの消化器症状、それらに伴う体重増加不良、神経症状（亜急性連合脊髄変性）として知覚・振動覚・位置覚の異常、筋力低下、歩行障害、Romberg徴候、若年者の白髪 　

II. 検査所見

• 大球性高色素性貧血、白血球減少、好中球過分葉（６分節以上）血小板減少
• 骨髄像：赤芽球過形成、巨赤芽球、顆粒球系や巨核球系細胞の成熟障害
• 生化学検査：間接ビリルビン値の上昇、LDH値上昇、血清ムラミダーゼ上昇、血清ビタミン B12値低値、葉酸値低値
• フェロカイネチィクスで無効造血パターン
• 抗胃壁抗体・抗内因子抗体陽性
• ビタミンB12吸収試験（Schilling test）陽性

　

III. 原因

A. ビタミンB12欠乏症

• 摂取不足
• 吸収障害
• 内因子欠乏(悪性貧血、胃切除など）
• 小腸病変（吸収不良症候群、blind loop syndrome）
• 先天性内因子分泌不全症
• 先天性異常内因子症
• Imerslund-Grasbeck 症候群：ビタミンB12の選択的吸収障害

B. 葉酸欠乏

• 摂取不足
• 吸収障害(妊娠、悪性腫瘍、溶血性貧血、広範な皮膚病変など）

C. 薬剤によるDNA合成障害

• 葉酸拮抗薬（MTX, ST合剤など）
• 代謝拮抗薬（6-MP, Ara-Cなど）

D. その他

• 先天性代謝異常（オロトン酸尿症、Lesch-Nyhan症候群など）
• 骨髄異形性症候群
• 赤白血病

治療で補充療法を（断続的な場合も含めておおむね６か月以上）継続的に実施する場合