診断方法
BH4欠損症(瀬川病とSR欠損症以外)は新生児マス・スクリーニングの高Phe血症で発見されるため、PKUとの鑑別診断が重要である。高Phe血症を伴わない瀬川病とSR欠損症はジストニアなどの神経症状でスクリーニングする。
- 高Phe血症を伴うBH4欠損症は、新生児期より高Phe血症は認められるが、神経症状が認められることはほとんどない。
- SR欠損症では生後早期より燕下困難を認めることもあるが3ヵ月頃までは異常に気付かれず、4ヵ月頃に定頚の遅いこと、5ヵ月頃より体幹の筋緊張低下と四肢の鉛管状硬直、さらに甲高い鳴き声や時には短いけいれんが出現するようになって始めて気づかれることが多い。
- 瀬川病では発症年齢は10歳未満で男女比は1:4で女児に多く、夕刻に症状が悪化する日内変動があり、症状は一側の下肢から始まり同側の上肢に広がり対側の下肢そして上肢というようなN字がたの進行性のジストニアが特徴である。
- 生化学的診断:血液・尿・髄液プテリジン分析でBH4が低下している(注1)。
- 酵素診断:乾燥濾紙血ジヒドロプテリジン還元酵素(DHPR)の測定、培養皮膚繊維が細胞のSR活性の測定を行う(注2)。
- 遺伝子診断:瀬川病ではGCH1遺伝子、SR欠損症ではSR遺伝子(SPR)解析により診断する。
新生児マス・スクリーニングで高フェニルアラニン血症で発見された場合、あるいは上記2,3の臨床症状を伴う場合は、BH4欠損症の鑑別のため下記の血液・尿・髄液プテリジン分析と酵素活性の測定と遺伝子解析を行う。
- (注1)
- DHPR欠損症、SR欠損症では活性型のBH4は低下しているが酸化型のビオプテリン(B)値は上昇しているため、確定診断にはプテリジン分析よりもDHPRやSRの酵素活性の測定が必要である。
- (注2)
- SR欠損症では赤血球SR活性は正常になることがあり、診断には培養皮膚繊維芽細胞でSR活性を測定する必要がある。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本先天代謝異常学会