診断方法
乳幼児期や小児期に発症することが多く、尿路結石を主症状とする。尿閉や急性腎不全を呈することもあるが、無症状でたまたま発見させることもある。
APRT活性が完全に欠損しているタイプI欠損症と、部分的に欠損しているタイプII欠損症があり、日本人ではタイプII欠損症が多い。
- 1.尿検査…尿沈渣中に円形の結晶が認められることがあり、診断のきっかけとなる。この結石はX線透過性である。尿酸結石やキサンチン結石との鑑別が必要である。
- 2.尿路結石分析…尿路結石の内容を赤外線吸収スペクトラム分析によって確認する。尿酸結石と類似することがあり、注意を要する。
- 3.確定診断 ①in vitroでのAPRT活性の測定
②細胞内でのAPRT活性の測定 ※1)
③遺伝子診断…日本人では原因遺伝子変異が限られることを利用して、PCR産物のASO(allele-specific oligonucleotide)、SSCP法、PCR-RFLPなどによる遺伝子診断が可能である。しかし、すべてのAPRT欠損遺伝子が判明しているわけではないので100%確実な診断法とはいえない。
④末梢血T細胞のアデニン類似体への感受性試験…確実な診断法である。末梢血から単核球を分離後、刺激して増殖させ、アデニン類似体(2,6-ジアミノプリンなど)を加えると、APRT*1(正常アレル)を少なくても1つもてば正常APRTが産生され、細胞は死んでしまう。APRT欠損症の病院アレルのホモ接合体では細胞は増殖する。
※1)タイプI欠損症では、赤血球溶血液中のAPRT活性がほとんど検出されないことにより診断は容易である。日本人では、タイプII欠損症が多く、APRT活性が25%程度まで測定されるため、APRT酵素活性の測定のみでは診断できない。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本先天代謝異常学会