診断方法
臨床症状、臨床検査に基づいて行う。
- 臨床症状 発症時期により、4つの病型に分類される。
- 乳児型:生後6か月までに発症し、定頚の不安定、易刺激性、哺乳不良などの退行を認め、急速に進行し、多くは1歳までに寝たきりとなり、2−3年で死亡することが多い。
- 後期乳児型:生後7か月〜3歳で発症し、易刺激性、精神運動発達遅滞、退行を認める。
- 若年型:4〜8歳で発症し、歩行障害、失調、視力障害などを認め、ゆっくり進行する。
- 成人型:9歳以降に精神症状で発症し、5から10年の経過で歩行障害、認知障害、視力障害などがゆっくり進行する。
- 臨床検査
- 頭部MRIのT2強調画像やFLAIR(fluid attenuated inversion recovery)法で白質の高信号域を認め、側脳室後角周囲から広がることが多い。Diffusion法で、進行部位の高信号域を認めることもある。
- 髄液検査では、蛋白の著明な高値、神経特異エノラーゼ(neuron specific enolase; NSE)の高値を認める。
- 末梢神経伝導速度では、上下肢ともに正常の半分以下になることが多い。成人型では軽度のこともある。聴性脳幹反応(auditory brain-stem response; ABR)、視覚誘発電位(visual-evoked potentials; VEP)で異常を認める。
- リンパ球や培養皮膚線維芽細胞のガラクトセレブロシダーゼ(galactocerebrosidase; GALC)活性低下を認める。
- 遺伝子解析でGALC遺伝子に変異を認め、一部の表現型の推定が可能。
- 除外診断として、血中極長鎖脂肪酸(副腎白質ジストロフィーの鑑別)やリンパ球中のアリルスルファターゼA(arylsulfatase A; ARSA)活性の測定(異染性白質ジストロフィーの鑑別)を行うことが望ましい。
疑診:上記臨床症状に、a, bかつcを認めれば強く疑う。fで副腎白質ジストロフィーや異染性白質ジストロフィーを否定できればより強く疑う。
確定診断:d、あるいはeを認める。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本先天代謝異常学会