診断方法
(1) 下記の症状・臨床検査から糖原病VI型を疑う。
主要症状:空腹時の低血糖症状、肝腫大注1、腹部膨満、人形様顔貌、低身長、成長障害
(I型に比し症状が軽度でVI型糖原病の中には無症状の症例もある。)
参考となる検査所見:
① 空腹時低血糖
② 食後血中乳酸の上昇
③ 肝機能障害
④ 高尿酸血症
⑤ 画像検査
超音波検査、CT, MRIで肝腫大を認める。グリコーゲン蓄積のため、肝超音波検査のエコー輝度、肝臓CTの信号強度ともに上昇する。高脂血症の程度により脂肪沈着のためCT値が低下する場合もある。
⑥ 肝生検: 肝組織にグリコーゲンの著明な蓄積と脂肪肝を認める。(診断のために必須ではない)
(2)診断の根拠となる特殊検査:
下記検査①②により糖原病VI型が強く疑われ、③または④により確定診断する。
① 食後の乳酸値の変化あるいはグルコース負荷試験
食後もしくはグルコース負荷で乳酸値が上昇する。
(参考:糖原病III型, VI型, IX型で共通の結果となる。)
② グルカゴン負荷試験注2
空腹時および食後2時間のグルカゴン負荷試験で血糖が上昇しない。
(参考;糖原病III型では空腹時の試験では血糖が上昇せず、食後2時間の試験で血糖が上昇する。糖原病IX型では空腹時および食後2時間の血糖が上昇する。)
(注意①で食後もしくはグルコース負荷で乳酸値が低下し、糖原病I型が疑われる症例ではグルカゴン負荷試験は推奨しない)
③ 酵素診断
白血球または肝組織を用い、グリコーゲンホスホリラーゼの酵素欠損または低下を証明する。
④ 遺伝子解析
PYGLの遺伝子解析にて病因となる遺伝子変異を同定する。好発変異の報告はない。
診断基準
①主要症状または参考となる検査所見のうち、肝腫大を認め、肝機能障害、もしくは低血糖のいずれか一つが存在し、グルコース負荷試験で乳酸値が上昇した症例は、III型, VI型, IX型の肝型糖原病の疑診例とする。
②酵素診断でリコーゲンホスホリラーゼの酵素欠損または低下を証明、または遺伝子解析で病因となる遺伝子変異が同定された症例を確定診断例とする。
注1:肝腫大は乳児期には発現するが、発現時期は様々であることを考慮して診断を進める必要がある。
注2:検査②による糖原病の病型診断は必ずしも真の診断に合致しない。そのためグルコース負荷試験の結果により糖原病が疑われる症例では、糖原病III型, VI型, IX型の可能性を考慮し、確定診断を進めるべきである。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本先天代謝異常学会