診断方法
肝グリコーゲン合成酵素欠損症
臨床所見、生化学分析、および遺伝子解析に基づいて行う。
- 空腹時の低血糖症状(不機嫌、けいれん、意識障害など)を認め、肝腫大を認めない。
- 食後の高血糖、食後高乳酸血症や高トリグリセライド血症、空腹時のケトン性低血糖、空腹時の血中アラニン低値の所見が見られる。
- 負荷試験 グルコース負荷試験:高血糖および高乳酸血症を認める。
- 肝生検組織化学: PAS染色でグリコーゲンがほとんど染色されない。(注1)
- 酵素診断: 肝組織のグリコーゲン合成酵素活性の低下。
- 遺伝子診断:ダイレクトシークエンス法やMLPA法により12p12.2に位置するGYS2酵素蛋白をコードする遺伝子(GYS2)解析を行う。
グルカゴン負荷試験: 食後3時間のグルカゴン負荷試験では血糖は正常反応を示すが、空腹時負荷試験では血糖は上昇しない。
上記の臨床像のような症状、所見がみられ、他の原因疾患が特定されていない場合には下記の検査を行う。
注1:疾患を引き起こす遺伝子変異の同定できれば、診断検査として侵襲的な検査を行う必要はない。
筋グリコーゲン合成酵素欠損症
- 運動時の失神、運動不耐、不整脈、突然死、(不整脈)が認められる。
- 心筋症、心電図異常が認められる。
- 筋生検組織化学:PAS染色でグリコーゲンがほとんど染色されない。ホスホリラーゼ染色が陰性となる。
- 酵素診断: 生検筋組織のグリコーゲン合成酵素活性の低下により診断する。
- イムノブロット:イムノブロットで生検筋組織のGYS1酵素蛋白の欠損を証明することにより診断する。
- 遺伝子診断:ダイレクトシークエンス法やMLPA法により19番染色体(19q13.3 )に存在するGYS1酵素蛋白をコードする遺伝子(GYS1)解析を行う。
症状は非特異的なものが多いが、上記の臨床像のような症状、所見がみられ、他の原因疾患が特定されていない場合には下記の検査を行う。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本先天代謝異常学会