診断の手引き

  1. 先天性代謝異常
  2. 大分類: 糖質代謝異常症
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グリコーゲン合成酵素欠損症(糖原病0型)

ぐりこーげんごうせいこうそけっそんしょう(とうげんびょうぜろがた)

Glycogen synthase deficiency

告示

番号:61

疾病名:グリコーゲン合成酵素欠損症(糖原病0型)

診断方法

肝グリコーゲン合成酵素欠損症

臨床所見、生化学分析、および遺伝子解析に基づいて行う。

  1. 空腹時の低血糖症状(不機嫌、けいれん、意識障害など)を認め、肝腫大を認めない。
  2. 食後の高血糖、食後高乳酸血症や高トリグリセライド血症、空腹時のケトン性低血糖、空腹時の血中アラニン低値の所見が見られる。
  3. 負荷試験
  4. グルコース負荷試験:高血糖および高乳酸血症を認める。
    グルカゴン負荷試験: 食後3時間のグルカゴン負荷試験では血糖は正常反応を示すが、空腹時負荷試験では血糖は上昇しない。
  5. 肝生検組織化学: PAS染色でグリコーゲンがほとんど染色されない。(注1)

  6. 上記の臨床像のような症状、所見がみられ、他の原因疾患が特定されていない場合には下記の検査を行う。

  7. 酵素診断: 肝組織のグリコーゲン合成酵素活性の低下。
  8. 遺伝子診断:ダイレクトシークエンス法やMLPA法により12p12.2に位置するGYS2酵素蛋白をコードする遺伝子(GYS2)解析を行う。

注1:疾患を引き起こす遺伝子変異の同定できれば、診断検査として侵襲的な検査を行う必要はない。

筋グリコーゲン合成酵素欠損症

  1. 運動時の失神、運動不耐、不整脈、突然死、(不整脈)が認められる。
  2. 心筋症、心電図異常が認められる。

  3. 症状は非特異的なものが多いが、上記の臨床像のような症状、所見がみられ、他の原因疾患が特定されていない場合には下記の検査を行う。

  4. 筋生検組織化学:PAS染色でグリコーゲンがほとんど染色されない。ホスホリラーゼ染色が陰性となる。
  5. 酵素診断: 生検筋組織のグリコーゲン合成酵素活性の低下により診断する。
  6. イムノブロット:イムノブロットで生検筋組織のGYS1酵素蛋白の欠損を証明することにより診断する。
  7. 遺伝子診断:ダイレクトシークエンス法やMLPA法により19番染色体(19q13.3 )に存在するGYS1酵素蛋白をコードする遺伝子(GYS1)解析を行う。

当該事業における対象基準

疾患名に該当する場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本先天代謝異常学会