診断方法
臨床所見、生化学分析、および遺伝子解析に基づいて行う。
- 果糖摂取後の急性症状 腹部症状:腹痛,嘔気,嘔吐
- 果糖摂取継続による慢性・進行性の症状 哺乳不良・食思不振,身体発育遅延
- 血液検査 食後低血糖(低インスリン性),低リン血症,高乳酸・ピルビン酸血症
- アミノ酸分析 血漿:アラニン増加(高乳酸・ピルビン酸血症に伴う所見)
- 果糖負荷試験 血糖・血清無機リン濃度の低下が認められれば診断的であるが、急性症状出現の危険を伴うため、現在は推奨されない。
- 酵素診断 ALDO-B 活性低下を認めれば確定するが、実施には肝などの生検組織が必要。
- 遺伝子診断 近年では5・6に代わる確定検査として ALDOB 遺伝子解析が行われている。
低血糖症状:蒼白,冷汗,振戦,意識障害,けいれん
肝障害→肝硬変・肝不全へと進展:肝腫大,脾腫,黄疸,出血傾向,腹水,浮腫
腎近位尿細管障害→腎不全へと進展:タンパク尿,ビタミン D 抵抗性くる病
母乳哺育中の乳児は症状を示さない。典型的には、蔗糖・果糖が添加された育児用調製粉乳の使用や離乳食の開始に伴って発症するが、幼児期〜学童期に肝腫大や発育遅延で気づかれるケースもある。幼児期以降は甘味を嫌う食癖を自ら獲得し、齲歯をほとんど認めないことが特徴的である。
アミノトランスフェラーゼ (AST, ALT) 増加, 高ビリルビン血症, 凝固系異常
高尿酸血症:ATP 消費に伴う AMP 異化亢進によって増加する。
高マグネシウム血症:ATP にキレートされている Mg イオンの放出による。
代謝性アシドーシス:乳酸・尿酸増加と近位尿細管での重炭酸再吸収障害による。
メチオニン・チロシン増加(肝障害を反映)
尿 :汎アミノ酸尿(近位尿細管障害を反映)
肝組織像としては、脂肪変性や門脈周囲を中心とする線維化などが観察される。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本先天代謝異常学会