診断の手引き

  1. 先天性代謝異常
  2. 大分類: ミトコンドリア病
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ミトコンドリア呼吸鎖複合体欠損症

みとこんどりあこきゅうさふくごうたいけっそんしょう

Mitochondrial respiratory chain disorders

告示

番号:89

疾病名:ミトコンドリア呼吸鎖複合体欠損症

診断方法

表1. に指定難病のミトコンドリア病の認定基準を示す。

表1. ミトコンドリア病の診断基準
(1) 主症候
進行性の筋力低下、横紋筋融解症又は 外眼筋麻痺を認める。
知的退行、記銘力障害、痙攣、精神症状、一過性麻痺、半盲、皮質盲、ミオクローヌス、ジストニア、小脳失調などの中枢神経症状のうち、1つ以上を認める。または、手足のしびれなどの末梢神経障害を認める。
心伝導障害、心筋症などの心症状、肺高血圧症などの呼吸器症状、糸球体硬化症、腎尿細管機能異常などの腎症状、強度の貧血などの血液症状又は中等度以上の肝機能低下、凝固能低下などの肝症状を認める。
低身長、甲状腺機能低下症などの内分泌症状や糖尿病を認める。
強度視力低下、網膜色素変性などの眼症状、感音性難聴などの耳症状を認める。
(2) 検査・画像所見
安静臥床時の血清又は髄液の乳酸値が繰り返して高い、又は MR スペクトロスコピーで病変部に明らかな乳酸ピークを認める。
脳CT/MRIにて、大脳基底核、脳幹に両側対称性の病変等を認める。
眼底検査にて、急性期においては蛍光漏出を伴わない視神経乳頭の発赤・腫脹、視神経乳頭近傍毛細血管蛇行、網膜神経線維腫大、視神経乳頭近傍の出血のうち1つ以上の所見を認めるか、慢性期(視力低下の発症から通常6か月以降)における視神経萎縮所見を両眼に認める。
骨格筋生検や培養細胞又は症状のある臓器の細胞や組織でミトコンドリアの病理異常を認める。
 
必要に応じて以下能検査を行い、
ミトコンドリア関連酵素の活性低下又はコエンザイムQ10などの中間代謝物の欠乏を認める。または、ミトコンドリアDNAの発現異常を認める。
ミトコンドリアDNAの質的、量的異常又はミトコンドリア関連分子をコードする核遺伝子変異を認める。
確実例:
(1) ①~⑤のうち 1項目あり、かつ、(2) ①~⑥ のうち、2項目を満たすもの(全体で計 3項目必要)
疑い例:
(1) ①~⑤のうち 1項目あり、かつ、(2) ①~⑥ のうち、1項目を満たすもの(計 2項目必要)

当該事業における対象基準

疾患名に該当する場合

:バージョン1.1
更新日
:2025年6月25日
文責
:日本先天代謝異常学会