診断方法
(1) 下記の症状に尿一般検査、腎エコー検査、家族歴からも本症が疑われる。
症状:PH1の発症は乳児期より50歳までみられるが、半数以上の症例は5歳以前に、90%以上は25歳までに尿路結石の典型的症状である腎仙痛や無症候性血尿で発症する。その後、尿路結石を繰り返し、腎石灰化症、腎不全が進行して、ほとんどの症例で末期の腎不全状態に陥る。腎以外の症状では、致命的な症状として心筋内へのシュウ酸カルシウム沈着による不整脈が挙げられ、本症の透析患者の死因の半数を占めている。さらに痛風に類似した骨痛や網膜症、歯の異常、末梢神経障害、腎不全による成長障害などがみられる。
一方、PH2小児例では診断時年齢は平均1.7歳(0.8〜15歳)で、尿路結石の症状で発症し、初診時に腎石灰化症まで呈することはまれである。経過もPH1より軽症で腎不全まで進行する例もまれである。
(2) 診断は上記の症状や所見があれば、生化学的検査として尿中シュウ酸排泄量の亢進と血中シュウ酸値の高値を確認する。またPH1ではグリコール酸、PH2ではL-グリセリン酸の尿中排泄が亢進している。さらに肝生検によりPH1ではAGT酵素活性、PH2ではGRHPR酵素活性の欠損を確認するか、それぞれの病因遺伝子の変異解析により診断が確定される。反復する腎結石に対してはPHの可能性を疑うことが肝要である。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本先天代謝異常学会