診断方法
臨床的に重篤なケトアシドーシス発作をきたし、尿有機酸分析でその他の有機酸代謝異常が否定された場合に本症を疑うことになる.
①一般検査所見
ケトアシドーシス時
著しい代謝性アシドーシス(pH<7.3,HCO3<15mmol/L)
典型例ではpH<7.2, HCO3<10mmol/Lを示す
総ケトン体>7mM(日本でμmol/Lで示されることが多いので7000 μmol/L以上)
典型例では10mMを超える
遊離脂肪酸<<総ケトン体
発作早期から遊離脂肪酸/総ケトン体比は0.3を切ることが多い.
血糖 高血糖,低血糖もある.
非発作時
持続性ケトーシス〔食事摂取時も含めて血中ケトンが高く、尿ケトン体陽性〕が見られれば本症が疑われる。しかし持続性ケトーシスのない症例が多い。
診断の根拠となる特殊検査
①有機酸分析:非特異的 他のケトアシドーシスをきたす疾患を鑑別上必要
②タンデムマスによるアシルカルニチン分析:非特異的
他のケトアシドーシスをきたす疾患を鑑別上必要
③酵素活性,イムノブロット:
サクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT)の著しい低下(正常の20%以下)
もしくはイムノブロットでT2蛋白の著しい低下(正常の20%以下)
④遺伝子解析:2アレルに病因となる変異が同定される.
診断基準
上記臨床症状の①,一般検査の①を満たし,診断の根拠となる特殊検査の③④のどちらかを満たすものを確定例とする.
鑑別診断としてやβ-ケトチオラーゼ欠損症、またロタウイルス感染症などによる著しい異化によるケトアシドーシスがあるが最終的には酵素診断もしくは遺伝子診断で鑑別する.
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.1
- 更新日
- :2015年5月14日
- 文責
- :日本先天代謝異常学会